マツダが進める「自動運転」技術。7年もかかった開発の苦労を聞く
車と安全というのは切っても切れない問題だ。飲酒や暴走だけでなく、ドライバーの突発的な体調不良や高齢による認知機能の低下に起因する事故まで連日のように報道されている。
広島県を拠点とする日本の自動車メーカー、マツダ株式会社がドライバーの異常を検知して安全な場所まで退避させる「MAZDA CO-PILOT CONCEPT(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」技術を昨年2021年に発表した。
そこでCO-PILOT技術や仕組み、開発秘話などとともに、自動運転車の販売予定がない理由について、商品戦略本部の主査である栃岡孝宏氏に話を聞いた。
車にドライバーを見守る副操縦士が
「CO-PILOTというのは『副操縦士』という意味で、常に機長の様子を見守り、機長に何かあった場合には操縦など安全確保も含めた役割を担っていきます。つまり、マツダCO-PILOTコンセプトに基づくシステムは『車の中に、常にドライバーを見守る副操縦士がいる』という仕組みです。
具体的には、車内に搭載したドライバーモニタリングカメラで、ドライバーの行動や体の様子を見守ります。ハンドルやアクセル・ブレーキなどの操作、車の揺れに対してバランスを取っているか。苦しくなって前のめりやエビ反りといった、ドライバーが運転できなくなる姿勢崩れが起きていないかなどを検知しようと見守ります」
高齢化社会を見越した技術開発
ドライバーの表情やまぶたの開眼状態についても検知。運転操作と姿勢、眼の開閉状況や顔をしかめるといったドライバーの異常に気付くと減速停止、車間距離の維持や車線維持、安全な場所への退避をおこなう。
さらに、異常を車外に報知。必要に応じて消防や警察などへ連絡し、早期救命を実現する。ここまですべてを自動でおこなうのが、CO-PILOT技術だという。
ではなぜ、マツダはCO-PILOTの開発に取り組むことになったのだろうか? 栃岡氏に尋ねたところ、CO-PILOTのコンセプトを作ったのは、2014年。