日本のネットショップ、大半は全く売れてない。ECの成長をはばむ“おじさん経営者”の壁
自粛期間が長かったコロナ禍では、ネットショッピングの利用者が急激に増えた。昔からネットショッピングで知名度が高い企業といえば、大手モールのAmazonや楽天市場などだろう。ユニクロなどを筆頭に自社ECサイトも数多くあるが、稼げている企業はかなり少ない。
そんななか、低迷している自社ECサイトの支援のため、2012年に設立された「株式会社これから」。
「ネットビジネスを底上げする」という目標を掲げ、これまでに9000サイト以上の集客アップに導いたという同社の代表取締役の今泉雄介氏に、前回では経歴などについて聞いた。本記事(後編)ではさらにEC業界の現状までに迫った。
日本のEC市場は成長率が低い
2021年7月に経済産業省発表の「全世界のBtoCのEC市場規模の予測推計値」によれば、537兆円のEC市場(旅行・チケット販売を除く)は2023年まで2桁成長(10%以上100%未満の成長)が続く見込みだ。
「一方で、日本のIT業界の課題は10年以上前からあり、EC業界の流れはここ10~15年で大きく変わっていません。また同じく経産省発表の『世界各国のBtoC市場(2019~2020年)』では中国がダントツで1位で、対前年比で成長率が27%と伸びています。
ドイツやカナダなど他の国も20%ほどですが、日本は成長率が14%と低い状態でした。日本は市場規模が世界4位とそれなりに大きく、コロナ禍でECサイトの利用者が増えているずなのに成長率が低いのが特徴です」
EC化が進まない“企業風土の古さ”
日本の成長率が低い理由には、いったいどんな問題があるのだろうか。
「EC化ができていない企業が多いからです。企業風土が古くてオンライン化に対応できていない。いまだにカード決済に抵抗がある会社もありますよね。理由はやはり、経営者が高齢にもかかわらず、ずっと会社に居座っていて、トップダウンの企業がとても多いことにあると思います。
しかし、日本の物販分野のBtoCの『EC化率』は2013~2020年で3.85→8.08%と右肩上がりです。また、2019年から2020年では過去最高の伸び率となっている。コロナ禍で、みなさんECサイトで商品を買っているのがわかります。とはいえ、世界のEC化率が平均18%とされているので、日本はまだまだ到底及ばない状況です」