タマホームが“コロナ不調の住宅業界”で好調な理由。反ワクチン報道の影響は
大手ハウスメーカーのひとつである「タマホーム」ですが、玉木伸弥社長はワクチン反対論者のようです。『週刊文春』の報道によると、ワクチンを接種した社員を無期限に自宅待機とするルールを設けたようです(同社はプレスリリースにて「そのような事実は一切ない」と否定)
しかし、もし報道が事実だとしたら自宅からのPC接続を禁止したため、これは事実上の停職処分と言えるでしょう。さらに続報で、取締役が社員に風俗店利用を推奨していた醜聞が明らかになり、企業イメージは転落する一方。
しかし、タマホームは業績面では好調をキープ。競合他社はコロナ禍の影響を受け業績が軟調ですが、タマホームはなんと売上が伸びています。今回はハウスメーカー各社の業績を見ていきながら、タマホームが好調な理由を探っていきましょう。
多角経営の大和ハウスが業界トップ
競合の大和ハウス工業は、2021/3期売上高は4兆1267億円とハウスメーカー業界でトップです。住宅に限らず商業施設など多角的に経営しており、事業内容と売上高に占める割合は以下の通りです。
【大和ハウスグループの売上割合】
戸建住宅:分譲・注文住宅の販売を行う事業(12.4%)
賃貸住宅:「D-room」ブランドで展開されるアパート・マンションの賃貸事業(23.9%)
マンション:分譲マンションの販売事業(8.1%)
住宅ストック:リフォームなどを行う事業(2.9%)
商業施設:複合施設の建設・テナント事業(19.3%)
事業施設:物流施設・工場・介護施設などの建設・運営事業(23.7%)
その他:ホームセンター、フィットネスクラブの運営事業(9.7%)
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次に近年の業績推移を見ていきましょう。
決算資料によると、過去4年の売上高は、2018年:3兆7960億円⇒2019年:4兆1435億円⇒2020年:4兆3802億円⇒2021年:4兆1268億円とコロナ以前までは拡大し続けました。
同様に営業利益も2018年:3471億円⇒2019年:3722億円⇒2020年:3811億円⇒2021年:3571億円と、売上高に沿って上下しました。
来年度はコロナ以前の水準に戻る見込み
2019/3期は住宅・マンション関連事業がほぼ横ばいだったものの、商業・事業施設関連事業が牽引し、全体の増収増益につながったようです。ECの好調に伴う物流施設の受注が関係しています。翌2020/3期は首都圏を中心にマンション需要が伸びたほか、引き続き商業・事業施設関連も好調でした。
そして、コロナ禍の2021/3期は意外にも戸建住宅事業が堅調だった一方で、マンションや住宅ストック事業、事業施設事業が軟調だったことで減収減益を記録しました。コロナ禍の影響がもろに出ているといった感じです。
ちなみに2022/3期は物流施設、データセンターの建設が好調なためか2020/3期の水準に戻るとの見込みです。社名に「ハウス」と冠していますが、住宅関連より事業・商業施設事業が同社の今後を決めると言ってよいでしょう。