パン屋なのに忙しくない。32歳“元数学教員”店長の「プライドレス効率化経営」
一般的なパン屋さんといえば夜が明ける前からパンを焼いて、早朝からいろんな種類のパンを並べてオープンしているイメージがある。だが、そんな常識を覆して、売り上げを伸ばしているお店がある。
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川崎市にある夫婦経営の「アルテの食パン」(@altashokupan)は、朝11時にオープン。店舗販売を行わない定休日が3日もあるというパン屋ではあり得ないゆる〜い営業体系となっている。
いかにして、これで成り立たせて美味しいパンを作るのか、「アルテの食パン」の店主である長山智寛さん(32歳)に実情を聞いた。
高校の時からパン屋さんに憧れ
「アルテの食パン」の長山さんは、独立する前は私立高校の数学教員だったというちょっと変わった経歴の持ち主だ。「子供の時から数学が得意だったんです」。そう笑いながら話す長山さんだが、パン屋さんにも昔からなりたかったという。
「高校の時からパン屋さんになりたいと思っていたので、大学卒業後『オリエンタル酵母工業』というパン開発の仕事をしている会社に就職しました。会社では研究職というエリートコースに乗ってたんですが、お客さんと直接触れられる仕事をしたいなという気持ちから、モヤモヤしてしまったんです。ただその時点で24歳。
人と一緒に何かをやったり、教える技術が未熟だったので、いろんな人と関われる仕事をしよう! と、先生になりました」
数学教員免許を会社員時代に取得
唐突とも思えるようなアイデアだが、一度決めたら猪突猛進。ところがこの時数学の教員免許を持っていなかった。そこで会社員時代に深夜まで勉強して、通信教育で取得したというから驚きである。
「教員免許は、単位を取れば取ることができるんですよ。それに数学の教員はなる人が比較的少ない。いちばん難しいのは、社会ですね」
長山さん曰く、社会は教員免許を取れる大学が多いので、就職の競争率が高くなるが、数学、そして英語は特に穴場だという。