乃木坂46から心理カウンセラーに。適応障害を乗りこえた25歳の今を語る
日常生活に支障をきたす「適応障害」。職場のトラブルなどを理由に苦しむ人たちも多く、2021年5月には女優・深田恭子さんが公表し、活動休止を発表したのも記憶に新しい。
華やかに見えるアイドル界でも、かつて苦しんだメンバーがいた。乃木坂46在籍当時に“ひめたん”の愛称で親しまれた、大学生の心理カウンセラー・中元日芽香(25)だ。
15歳でグループへ加入して、一時は適応障害に苦しみ休業。その後、21歳で乃木坂46を卒業した彼女は、みずからの経験を初の著書『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』(文藝春秋)に込めた。書籍の執筆を経て、彼女は何を思ったのか。胸の内を聞いた。
心理カウンセラーをしながら大学卒業を目指す
――2017年12月に乃木坂46を卒業してから約3年半。著書の出版はひさびさに表舞台へ立つきっかけになったと思いますが、現在はどういった活動をしているんですか?
中元日芽香(中元):心理カウンセラーとして、週に3回ほどクライアントさんとのオンラインセッションを行っています。一方で、通信制大学の4年生として、大学卒業に向けてゼミの研究に取り組んでいます。
――著書の前半部では、乃木坂46への加入から卒業までの様子が事細かに描かれていました。加入して早々から、舞台裏では過食症に苦しめられていたこと。2017年1月に一時休業を決断した背景。最後のステージになった東京ドームの思い出など、そのときどきの思いがありありと伝わってくるようでしたが、執筆中は何を思っていましたか?
中元:いろいろな感情が込み上げてきました。涙で目を腫らしながら書いているときもあれば、書きながら「こう思っていたんだ」とスッキリした日もあり。参考資料として、過去のライブやドキュメンタリーの映像、写真を見ながら自分の気持ちを整理していきました。
表紙のカットは自然体で撮影できた
――もともとは、一時休業中からまとめていた日記がベースになっていたそうですね。
中元:当時は、文章を書くことで気持ちが浄化されていく気がしたんです。自分のために忘れないように書いておこうと思ったのがきっかけでした。ただ、本が完成するまでに原稿は2回ほどおじゃんになっています。ゴールが見えず原稿にふれたくない時期などもありながら、ようやく形となり過去を振り返れました。
――著書の表紙にある遠目に笑顔で振り向くカットも印象的ですが、この写真についての思い入れはありますか?
中元:撮っていただいてうれしかったです。表紙のカットは撮影の移動中に撮ってもらった1枚なんです。スタッフさんと談笑しながら歩いていたら、遠くからカメラマンさんが「今すごく緑がいい感じだよ。ちょっとこっち向いて!」と声をかけてくださって。自然体だし、一番のフラットな姿だったなと思います。
出版が決まった当初は、芸能人のような感覚もすっかり薄れていて「顔出ししません」とまで言っていたんですけどね。いろいろな方からの助言を受けて、本に対する説得力も増すだろうし、表紙から伝わるメッセージもあるだろうからと、決断してよかったです。