パワハラとも違う「クラッシャー」上司とは?部下の精神を潰しながら出世していく
「働き方改革」に続き、厚生労働省が昨年6月に打ち出した「パワハラ防止法」。これで被害も減るかと思いきや、さらに凶暴な「クラッシャー上司」が登場しているという。その実態を追った。
仕事がデキるゆえに部下を潰す“クラッシャー”
2020年、厚生労働省が発表した「個別労働紛争解決制度の施行状況」によると「いじめ・嫌がらせ」に関する個別労働紛争の相談件数が8年連続のトップとなった。前年の2019年度には、同項目は過去最高を記録している。
そんななか近年、注目を集めているのが、「パワハラ上司とは似て非なるモンスター」ともいえる「クラッシャー上司」だ。産業精神医学専門の松崎一葉氏が、「部下を精神的に潰しながらどんどん出世していく上司」の存在を問題視して命名したものだ。
クラッシャー上司とパワハラ上司の違いとは
<クラッシャーとパワハラの違い>
■ クラッシャー
・学歴や能力が高く、正しさを強要する
・「仕事のため」という名目で過剰な指導
・共感性がなく加害の自覚や良心が欠如
・部下を潰しながら自身は出世していく
■ パワハラ
・学歴、社会や仕事での地位はさほど高くない
・ストレス発散のために嫌がらせをする
・殴る蹴るなどの身体的攻撃をしてくる
・暴言や脅迫による精神的攻撃をしてくる
=====
松崎氏の下で学び、産業精神科医を務める道喜将太郎氏はこう語る。
「クラッシャー上司に共通しているのは他人への共感性が著しく欠如していること。部下の気持ちがわからず、わかろうともせず、自分が善であると信じて疑わないため、悪いことをしているという自覚がない点が厄介です」
クラッシャーの大半は往々にして高学歴で頭がよく、会社への貢献度も高いため、上層部も辞めさせることはおろかキツく注意することさえできず、部下をクラッシュしながら高い地位へ上り詰めていってしまうのが特徴だという。