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缶コーヒーのUCC上島珈琲が「ボトルコーヒー」本格参入。狙いを副社長に聞く

ビジネス

 仕事の息抜きやちょっとした気分転換に最適なコーヒー。かつては缶コーヒーが主流だったものの、2018年にはペットボトルコーヒーが生産量で追い抜き、飲料メーカー各社もさまざまな商品を展開するようになった。

 そんななか、 世界初の缶コーヒー「UCC ミルクコーヒー」や、ブラック無糖タイプの「UCC BLACK無糖」を発売するなど、コーヒー専業メーカーとして業界を牽引してきたのがUCC上島珈琲(以下、UCC)だ。

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UCC上島珈琲株式会社 取締役副社長の杉山繁和氏

 ペットボトルコーヒー全盛の中、UCCブランドの事業戦略や今後の展望について、同社の取締役副社長を務める杉山繁和氏に話を聞いた。

学生時代のバイト経験がきっかけに

 杉山氏は学生時代、勉強よりもアルバイトに精を出し、とにかくどんな仕事でも挑戦した経験があるという。

「喫茶店のウェイターや工事現場での作業、家庭教師……気の向くまま40種類くらいのアルバイトを経験しました。さまざまな人と共に仕事をしていくなかで、それぞれまったく違う価値観を持っているということを学びました。今振り返ると、学生時代の経験が『人のライフスタイルや価値観に興味を抱く』ことの原点になっているかもしれません」

 大学卒業後は大手消費財メーカー・ライオン株式会社に就職。当時は売り手市場で、大量採用の時代だったので、特に職種への希望はなく入社を決めたそうだ。

「現在の就職活動は、どの職業に就くかで企業研究や自己分析など、真面目にキャリアを考える学生が多いですが、私が入社した1987年は特にこれと言って考えなくても企業に入れた時代。マーケティングという言葉も知りませんでした。新卒から5年くらいは、東北エリアで営業をしていましたが、ライオンのメーカーシェアが強い地域だったこともあり、日々、楽しく仕事をこなしていましたね」

外資系企業中心にキャリアを築く

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 転機になったのは、会社の意向でマーケティングへ異動になったことだという。

いきなりの転身だったので、数字分析や市場調査など初めは結構苦労しました。周囲は優秀な人ばかりで、必死にもがきながら業務を覚えていきました。そこで、今でも恩師と仰ぐ上司と出会ったんですね。理論よりも、現場実地の大切さや定量・定性調査から仮説を導き出し、実行に移すまでのプロセスなど“マーケティングのいろは”を学んだんです」

 ライオンの次は、日本コダック、日本ケロッグと外資系企業を数年渡り歩き、グローバル飲料メーカーのコカ・コーラへ進む。きっかけは、どの国、地域に行ってもコカ・コーラ商品が並び、人々に愛される姿を見て、「グローバルブランドに携わってみたい」と思ったからそうだ。

「コカ・コーラで学んだのは、『グローバル視点で消費者見ること』でした。とかく海外と日本では嗜好やニーズが異なると考えがちですが、人間って突き詰めると本質はみな一緒なんです。グローバルで共通のニーズを分析するツールを用いて、その結果からマーケティングに活かしていくやり方を行っていたのは、正直“目から鱗”でしたね」

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