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有吉弘行「すれ違いを潰す」発言は芸能人だから?一般夫婦の本当の“離婚理由”とは

暮らし

 4月23日、一夜限りで復活した『マツコ有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)に、電撃婚を発表した有吉弘行さんと夏目三久さんが出演し、大きな話題となった。

 その際、有吉さんが「離婚の原因はすれ違いか価値観の違い。すれ違いだけでも潰しておくか」とコメント。同じく人気タレントである夏目さんが芸能界を引退し、多忙な有吉さんを支えるため、家庭に入るという決断を発表している。

 久しぶりに大物芸能人同士の電撃婚であったが、このめでたいビッグニュースから結婚での失敗や、離婚を回避する術を学ぶことはできないのだろうか。そこで『ぼくたちの離婚』(角川新書)の著者であり、離婚問題に詳しいライターの稲田豊史さんに、一般人の本当の離婚理由について聞いてみた。

離婚原因=すれ違いは一般的か

――以前に噂はあったものの、突然の有吉さんと夏目さんの結婚報告は驚きでした。それで有吉さんは、離婚問題について「すれ違い」という言葉を使っていましたね。

稲田豊史(以下、稲田):今は経済的理由などで、夫婦共働きの世帯が多いなか、有吉さんは年収億超えの人気芸能人です。当然、シングルインカムであっても、夏目さんとの新婚生活に経済的問題は発生しません。有吉さんの言った「すれ違い」という言葉のニュアンスは、おそらく「夫婦がいっしょに過ごせる時間」のことを指しているのだと思います。

 夫婦共働きで双方とも仕事が多忙の場合、必然的に夫婦は長時間すれ違うことになりますが、もし妻が専業主婦なら、比較的時間の融通がきく妻は、夫の生活サイクルに歩調を合わせることができます。そうすることで、有吉さんが危惧する離婚原因=すれ違いの心配はほぼなくなる。ただ、それを叶えるには、男性の収入が相応に高くなければなりません。

――そうですね。

稲田:「金持ち喧嘩せず」ということわざもあるように、金銭的に余裕のある人は心に余裕がある。その余裕がどこから来るかというと、多くは「時間」です。例えば、ある夫婦の家庭で火曜日に問題が起きたとしましょう。お金と時間に余裕のある夫婦、つまり妻が専業主婦であるとか、双方とも少ない労働時間で相応の収入があるような場合、その日の夜にじっくり話し合いをして、すばやく問題解決に取り組めます。逆にお金も時間もない共働き夫婦は、週末まで話し合いを持ち越さざるをえない。ヘタに時間が経過してしまった分、問題がこじれて悪化するリスクもある。

 つまり夫婦のすれ違いは、経済力次第である程度は埋め合わせが可能です。有吉さんは、おそらくそれをわかっていて、同じ芸能人である夏目さんとのすれ違いリスクを早々に回避した。芸能界で成功した有吉さんらしい、賢明な選択ではないでしょうか。

一生消えない遺恨になりかねない

稲田豊史

稲田豊史『ぼくたちの離婚』(角川新書)

――お二人は順風満帆な新婚生活を歩みそうですね。

稲田:確かにすれ違いのリスクは消えました。ただ、夏目さんが今秋で芸能活動から身を引き、専業主婦になるという点について、夏目さん本人はどう考えているのか。もしも夏目さんにだけ不満が残っていたとしたら、それは将来的に夫婦関係の時限爆弾にもなりうるし、すでに離婚の第一歩を踏み出してしまっている可能性すらあります。

――どういうことでしょうか。

稲田:「すれ違いを潰す」というのは、あくまでも有吉さんがコメントした話であって、夏目さんから自発的に出てきた考えかはどうかは、あの放送だけではわからないからです。果たしてどこまで夏目さんが納得しているか。お二人が忌憚なく話し合った末、夏目さんの芸能界引退について完全に合意した、あるいは夏目さんが、結婚後は専業主婦になりたいと思っていたのなら、問題はありませんが。

 世の男性のなかには「妻とよく話し合い、退職を納得してもらえた」と言う人もいます。ただ、妻が本当に納得しているかどうかは怪しいもの。後年になって、「本当はキャリアを捨てたくなかった。私はずっと我慢していた!」と女性が爆発するケースはよく聞きます。そういう意味では、夫はキャリアプランを変更した妻に対して、常に「借りがある」と思っておいたほうがいいでしょう。

――「借り」ですか。

稲田:女性が結婚や出産で退職したり、職種を変更したり、フルタイム勤務を諦めたりした場合、いくら表向きは合意していたとしても、心の底には「私が我慢したから、あなたの望むライフスタイルが成立しているのよ」という認識が少なからずあるものです。ところが残念なことに、夫の多くはそれを「当然のこと」と思っている。しかも「俺が食わせてやっているんだから、おまえは家のことやれ」なんてことを平気で言う人もいます。

 夫は夫婦の話し合いで身を引いた妻に、「この恩知らず」と思わせては絶対にダメ。夫は妻に一生「借り」があることを肝に銘じるべきです。

ぼくたちの離婚

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離婚経験のある“男性”にのみ、その経緯や顛末を聞く、今までになかったルポルタージュ。“人間の全部”が露になる、すべての離婚者に贈る「ぼくたちの物語」

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