近大生のクラウドファンディング、なぜ炎上した?運営側にも問題が
ネット上で、不特定多数の人たちからプロジェクト遂行のための資金を募れるクラウドファンディング。国内でもさまざまなサービスが登場していますが、7月初めに大手の「CAMPFIRE」で大学生の投稿が炎上するという事件がありました。
近畿大学に通う学生3人は7月1日、「スラム街の暮らしを肌で感じたい!」と題し、パトロン(支援者)の募集を開始。フィリピンのマニラにあるスラム街で「子供達に日本語や日本の遊びを教えたり、現地で一緒に遊びに行く」などとして、現地までの渡航費など25万円を出資してくれるパトロン(支援者)を目標金額に達成せずとも資金を得られる「All in」形式で募りました。
しかし、ネット上では「現実を知りもせず、勝手にスラム街の子供は遊びや夢がないと決め付けている」「子供達は就活の道具じゃないし、どうせ面接のネタにでもしたいんだろ?」など、手厳しい批判が相次ぎ3日後、このクラウドファンディングは中止になりました。
誰かのアイデアへ“先行投資”できるという夢のようなクラウドファンディング。しかし、一方では今回のように炎上する事例もみかけます。一体なぜ、このような事態に陥ってしまうのか。国内外のクラウドファンディング事情に詳しい、クラウドファンディング総合研究所の所長・板越ジョージさんにお話を伺いました。
クラウドファンディングという言葉にまつわる誤解
――板越さんは国内外でクラウドファンディングの啓発に務めていらっしゃいます。その第一人者という立場からみて、今回の事件についてはどのような感想をお持ちですか?
板越ジョージ(以下、板越):炎上したということ自体は、そもそもが「大学生がまた生意気なことを言っている」程度の、ネットによくあるノリだと思うんですよね。ただ、クラウドファンディング自体の仕組みについて言及するならば、先行しているアメリカと比較すると、日本国内ではそれ自体にいまだ大きな言葉の誤解が生まれている気もします。
――日本国内でみられる“言葉の誤解”とはどういったものなのでしょうか?
板越:まず、前提として抑えておきたいのは、クラウドファンディングには大きく分けると3種類の出資方法があるということです。
ひとつは「購入型」というもので、これはプロジェクト達成後に資金を募った人から出資者に対して金銭以外の形で何らかのリターンが発生します。そして、おそらくみなさんが思い浮かべやすい「寄付型」と呼ばれるものがあり、ほかにも「金融型」と呼ばれる金銭のリターンが発生するタイプがあります。
――今回、炎上したクラウドファンディングはどちらのタイプになるのでしょうか?
板越:大学生のプロジェクトが投稿された「CAMPFIRE」というサービス自体がそもそも「購入型」をはなから謳っているサイトです。それにもかかわらず、多くの人が「寄付」や「投資」といったイメージのまま、彼らの発言を汲み取ってしまったところに炎上の原因があったと思っています。
この事件に対してちょうど、キングコングの西野亮廣さんがブログで「『購入型』のクラウドファンディングは、『支援』じゃなくて、いっそのこと『予約販売』と言った方がいいんじゃないの?」と主張していましたが、これは僕もセミナーで逐一伝えているところで、共感しました。