民泊合法化はリスクではない。一般人でも今から稼げるのか?
自分が宿泊者として利用できる一方、空き家や空き部屋を誰かに貸す副業としても注目されている民泊。2020年の東京オリンピックも視野に入れた外国人の受け入れという点でも注目を集めています。
今回は前回に比べて少し視野を広げ、日本を含めたアジア圏のでの運用方法について、200件超の物件をASEAN全域で取り扱う、エアーグローバルエージェンシーバンコク・オフィスのCEO・近江幸生氏に聞いてみました。
民泊に一家団らんを求める外国人観光客
――外国人観光客をターゲットに民泊を運用しているということですが、どのような宿泊施設を提供されていますか?
近江幸生(以下、近江):弊社では、民泊新法の施行以前から法律に則った物件を提供しています。コンセプトは「ホテルの代わりに使える施設」ですね。
ただ、日本人が少人数で旅行する傾向がある一方、外国人観光客の多くは家族総出で旅行することも多いため「ホテルでは体験できない環境で一家団らんできる場所」を提供するよう心がけています。
――その背景には、どういった理由があるのでしょうか?
近江:日本国内で民泊を利用したことのある外国人観光客からは、不満の声が上がることもあるんですよ。一番の理由は、核家族などを背景とする日本ならではの住宅の狭さですね。
対して、例えば弊社の主要顧客を多く持つタイでは、一般家庭でも数世代が一緒に450平米ほどの広い住宅に住んでいるケースも多い。彼らは家族単位で旅行する場合も多く、また、生活習慣が日本と異なる部分があるのも理由に挙げられます。
民泊を提供するなら中国系観光客がねらい目
――ホテルや旅館といった既存の宿泊施設にはない、民泊施設ならではの可能性は?
近江:既存の宿泊施設はどうしてもコストを抑えるなどの効率化を求められますが、民泊施設は、サービスの質を追求できるのが大きな可能性だと思います。
例えば、外国人観光客の多くが家族単位で旅行する傾向にあるのを考えれば、一家団らんできるリビングルームを提供できるというのも優位な部分ですね。
――今後、民泊への参入を考える場合にどういったことを意識するべきなのでしょうか?
近江:1、2人といった少人数単位の観光客をターゲットにするなら、やはり室数やメンテナンスの点で既存のホテルや旅館にはかないません。そのため大人数の外国人観光客を取り込む努力が必要になります。
また、インテリアなどで差別化を図るのもひとつの方法かと思います。環境を安く仕上げるのではなく、日本にある国独自の文化を反映させた部屋づくりを心がけるのも大切です。
――特に、視野に入れておくべきターゲットはありますか?
近江:アジア圏でいえば、やはり“爆買い”などでも注目される中国人の観光客が目立つターゲットになります。中国には家族を大切にするという文化があるため、旅行先にも大人数で移動するケースが多いです。
また、世界的にみると中国からだけではなく、広く視野を持ち各国に住む中国系の外国人を対象とするのがよいかもしれません。