ユニクロのチラシはなぜゴチャゴチャなのか?ブランド戦略で勝つ企業
「ブランディング」という言葉を最近よく耳にするけど、具体的にどんなことを指しているのか、説明しようとすると言葉に詰まってしまう。
そんな疑問に答えてくれるのが、美容室のシャンプー/ヘアカラーメーカー「ミルボン」のブランド戦略担当として活躍する、竹渕祥平さん(@buchi__san)だ。
前回のインタビューでは、主にご自身の経歴について語ってもらったが、他社の事例を紹介してもらいながら、ブランディングの真髄にせまる。
カロリーメイトは面白い
身近で面白いブランディングの事例があれば教えてください。
「大塚製薬の『カロリーメイト』は面白いですね。数字を調べてもらえたらわかると思いますが、2010年くらいから売上が少し停滞していた時期を脱却して、ここ数年は確実に伸びています。
2016年に展開していた『夢の背中』という学生の背中を、母親が後ろから温かく見守り続けるストーリーの動画があるのですが、受験生を応援するってコンセプトが、エモーショナルに伝わってきます。
質の高いクリエイティブな作品を生み出す一方で、公式Facebookページを覗いてみると、また印象が違ってきます。ポップなイラストがあったり、比較的ラフなコミュニケーションをとったりと、すごく親近感を覚えます。企業の公式ページで、数千もの“いいね!”がつくのは、なかなか目にすることはないですよ。
全体のコンセプトの軸があるなかで、Facebookなのか、YouTubeなのか、サイネージ広告なのか、媒体によって何が最適なのか、しっかり考え抜かれているのを感じますね」
消費者の意識にも変化が
「企業ブランディング」と、「製品ブランディング」は、別軸で考えた方が良いのだろうか。
「企業によって考えは異なると思いますが、予算が潤沢なところであれば、製品カテゴリー別でブランディングしているケースもあります。大塚製薬で言うと『カロリーメイト』や『ポカリスエット』など、製品単体として強いので、個別でブランディングするのが正しいのかなと。
潮流として、P&Gを例にあげると、最近では企業としてのブランディングを強化しているように感じます。CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)などがフォーカスされるなかで、『この会社にどんな社会的な価値があるのか?』ってことに、消費者も敏感になってきているのだと思います。
ミルボンでは、製品カテゴリーごとに細かくブランディングをしている訳ではないですが、『美容師さんのパートナー』であることが企業も製品もきちんと伝わるように、各所でコミュニケーションを取っていますね」