第三のビールが値上げ。酒税法改正に「本麒麟」担当者のホンネ
コロナ感染防止対策で外食ができなくなってしまい、家飲みに移行する人が増えている。そんななか、今年10月1日に酒税法が改正される。ビールにかかる税金が安くなり、手頃さが魅力だった第三のビール(新ジャンル)にかかる税金が高くなるのだ。
今回、キリンビール株式会社にて、新ジャンルで好調な「本麒麟」のブランドを担当するマーケティング部 ブランドマネージャー(新ジャンル統括)の永井勝也氏に話を聞いた。
おカネのない若者にとっては有難い新ジャンル商品だが、今後は価格もどんどん上がっていくと思われる。これをビールメーカーはどう受け止めているのだろうか?
10月から、ビールは減税、第三のビールは増税
10月に行われる酒税法改正で、1Lあたりビール(麦芽比率50%以上)が20円の減税、新ジャンル(第三のビールなど)が28円の増税となる。これを受けて、メーカー各社は価格改定を発表。いくらで販売するかは店にもよるが、新ジャンルは値上げになるだろう。
ちなみに酒税法改正は2023年、2026年(いずれも10月)にも施行され、ビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)は350mlあたり税額55円に一本化される見通しだ。
政府としては、落ち込んでいる酒税収入を増やすだけでなく、複雑だった税率を明確にする狙いがある。一方で、永井氏は「10月以降はビールに注目が集まる」と語る。
「キリンビールで言えば、一番搾りのようなビールブランド、あるいはクラフトビールのような商品群は、値段が下がるので、注目を集めるでしょう。とはいえ、今回の法改正で、なんとなくで選んでいたのをお客様が見直すのであれば、本麒麟にとっては、新しい取り組みを試す良いチャンスだと考えています」
売上2割減でも「新ジャンルは売上増」
とはいえ、状況は決して楽観視できなそうだ。居酒屋が営業自粛になるなど、キリンビールが発表した今年の上半期決算は、前年比6.5%減、売上収益2,872億円となった。
「コロナの影響を大きく受けたビール業界では、今年はとくに料飲店の売上の落ち込みが大きかった。ただ、家庭での消費は伸びていますし、リーズナブルな新ジャンルの上半期販売数量は、前年比108%の伸びを記録しています」
キリンビールとしてはウィズコロナの働き方として、在宅勤務やWEB会議などを導入し、変化に対応している。
「当たり前だった“会社に毎日行って働くこと”がなくなり、タイムレスに繋がれるようになった。ポジティブな変化がある一方で、我々の仕事はモノづくりなので、会議室に集まって、パッケージを見たり、味を確認し合ったりできないのはデメリット。リモートとリアルのバランスを探りながら、やっていく必要があると思っています」