厚労省の統計不正「誤差だと思った」…役人たちのボンヤリ発言に驚く
2019年早々から大きな問題へと発展し、いまだ収束が見えない厚生労働省の統計不正問題。この一連の不正は、国内に留まらず、海外にも影響を与え始めている。
2月18日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)でも厚生労働省の現役職員やOBなど、150人以上の関係者への取材をもとに問題の核心に迫り、話題を呼んでいた。
そこには、厚生労働省の驚くべき、認識の甘さがあったという。
統計不正は2004年から始まっていた
厚労省が発表し、今回不正が明らかとなった「毎月勤労統計調査」は、従業員500人以上の事業所すべてが対象だ。しかし、東京都では3分の1程度しか調査は行われていないなど、全国各地で不正が明らかとなった。
不正が始まったとされる2004年から問題が発覚する2018年12月まで、厚労省は本来と異なる手法で調査を行い、その後もルール違反を繰り返して、不正確なデータを公表していた。
特別監察委員会が2月22日にまとめた報告書によれば、当時の担当係長は監察委員会に対し、都道府県の担当者の負担を考慮したため全数調査から抽出調査にした、と説明。「(抽出でも)誤差にとどまるという認識だった」と話す。
約2015万人が過少給付されていた
もちろん不正統計の影響は誤差にとどまらない。その影響で雇用保険や労災保険などを約2015万人が過少給付されていた。
厚労省が新たに出した試算によれば本来、子育て世帯に支払われるべき「育児休業給付金」が統計不正によって正しく支払われず、育児休業給付の対象者はのべ約14万人で、一度あたりの受給期間の不足額は平均約3100円。
同じく雇用保険では失業手当が1567万人に支払われておらず、平均して一度あたり約1350円不足し、労災保険は年金給付が約27万人に対して9万円、休業補償は約45万人に対して月平均300円などが正しく支払われていなかった。
早ければ月内にも追加報告書が公表される予定だが、監察委員会は「組織的隠蔽(いんぺい)」は認められない方向で調整している。