オリエンタルランドでパワハラ訴訟。非正規社員からは悲痛な声が続々
国内有数のテーマパークである「東京ディズニーリゾート」を運営する株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)。“夢の国”を支えてきたこの企業が抱えていた闇に、注目が集まっています。
2018年7月19日、ディズニーランドで着ぐるみショーに出るなどの業務にあたっていた契約社員の女性2人が、過重労働やパワハラで体調を崩したとしてオリエンタルランドに対し、約755万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしました。
すでに11月13日には千葉地裁で第一回口頭弁論が開かれました。併せて同日には原告側の記者会見が行われ、2人の女性社員が置かれていた過酷な労働環境や悪質なパワハラの実態が明らかになっています。
東京ディズニーリゾート、労働環境の実態とは?
原告の一人である20代の女性契約社員Aさんは10~30キロの重い着ぐるみを着用し、パレードやショーに出演していました。休憩も10分程度のスケジュールで、過度な業務を続けていた影響で、上肢にしびれが出て、肩甲骨周囲に痛みが生じる「胸郭出口症候群」を発症したと主張。船橋労働基準監督署に労災を申請。2017年8月に正式に労災認定を受け、現在は休職中です。
もう一人の原告である30代女性社員Bさんは過酷なパワハラの実態を語っています。記者会見によれば、Bさんは2013年1月から約5年間にわたって、いじめや「病気なのかそれなら死んじまえ」「30代以上のババアはいらねぇんだよ。やめちまえ」といった暴言などパワハラを受けてきました。
ディズニーランドという夢の国を支える一員であったBさん。訴えることでゲストの夢を壊すかもしれない、との不安はあったものの「多くの人に愛され求められる業務が、少しでも長く働き続けられる環境に代わること」を願い、裁判に踏み切ったと言います。
従業員を裁判に踏み切らせたオリエンタルランドとは、どのような会社なのでしょうか。
正社員より圧倒的に多い“準社員”
オリエンタルランドは1960年7月11日に設立。現在の東京ディズニーリゾートのある場所は、もともとは千葉県浦安沖の海面を埋め立て、商業地・住宅地の開発、大規模レジャー施設の建設を目的としていました。この大規模レジャー施設の仮称が「オリエンタルランド」だったのです。
レジャー施設実現に向けてオリエンタルランドが白羽の矢を立てたのが、当時、開業して間もなかった米国のディズニーランド。
厳しい交渉の末、オリエンタルランドは1979年4月にディズニーランドの運営元であるウォルト・ディズニー・プロダクション(現ウォルト・ディズニー・カンパニー)と正式に業務提携を結び、浦安でのディズニーランド設立にこぎつけます。こうして1983年、千葉県浦安市に東京ディズニーランドが誕生したのです。