退職代行サービスが流行るワケ。罵倒して辞めさせない企業の驚愕実態
「退職する時期は会社側で決めさせてもらう」
飲食店で店長として働いていた27歳の男性の事例も番組で紹介されました。
慢性的な人手不足だったその飲食店では、毎月100時間を超える残業を強いられていたそうで、過労が原因で体調を崩してしまい、退職の意向を伝えましたが、まともに取り合ってもらえなかったそうです。
さらに、「『辞めたいという意向はくみ取ってあげるけど、辞める時期はこっちが決めさせてもらう』と言われた」と番組の中で驚くべき実態を語っています。
この男性は、残った従業員にさらなる負担が掛かってしまうことを心苦しく思いながらも、自分が壊れてしまう前に一刻も早く辞めなければならないと断腸の思いで、退職代行サービスを利用したと言います。
そのほかにも番組では、残業が100時間を超える福祉関係の職場で働く20代の女性や、退職届を3か月以上無視された40代の女性の声が紹介されました。
労働に関する相談は10年連続で100万件を超える
退職代行サービスのニーズの高まりには、転職者の増加があると言われています。総務省統計局の「労働力調査」によると、2017年の転職者は311万人にのぼり、2010年から増加している傾向にあります。
また、退職に関するトラブル以外にも、労働者を取り巻く環境にはトラブルが少なくありません。
厚生労働省の「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、29年度の総合労働相談件数は110万4758件で、10年連続で100万件を超える高止まり状況が続いています。
このうち、民事上の個別労働紛争に関するものは、およそ25万件で、「いじめ・嫌がらせ」が23.6%を占めて6年連続でトップ。「自己都合退職」が12.8%、「解雇」が10.9%となっています。
SNSでは退職代行サービスに肯定的な声が多数
「よく取り上げてくれた! 自分も似たような状況で辞められずに困っています」
「退職代行サービス、良いんじゃない? 理屈が通じない相手なら仕方がない」
「そもそも、労働者を守るのは本来は行政がするべき仕事なのでは?」
SNS上では、退職代行サービスに対して、肯定的な意見が大多数を占めていました。
企業側としては、昨今は人々のコンプライアンスが高まり、転職口コミサイトなどで、悪評を流されることを恐れ、離職率の上昇を抑えたいという思惑があるため、強引な引き止めを行ってしまうようです。
終身雇用制度が崩れ去り、転職が当たり前になった現代の労働環境。激変する社会状況の中で、それぞれの立場の人間が戸惑いを覚えていることが、退職代行サービスが流行る要因なのではないでしょうか。
これからの「働き方」の在り方を再考する必要がありそうです。
<TEXT/湯浅肇>