マツコ、坂上忍も被害に「芸能人が絶賛」と書くネット広告の深い闇
肖像権侵害、虚偽記載が野放しに…
そのため、この事例のように、芸能人やテレビ番組などで紹介された信頼に足る商品であることを騙り、アクセスを促し、嘘の情報で閲覧者に商品を購入させようとする悪質な広告もあるわけです。
もちろん、許可なく著名人やテレビ番組の名前を利用すれば、肖像権の侵害にあたる恐れもあります。併せて、そもそもサイトの内容が、関連する芸能人やテレビ番組と全く関係のないものであれば、虚偽記載にあたるでしょう。
ですが、依然としてアフィリエイト広告の仕組みを悪用し、利益を上げようとする“悪質なアフィリエイター”、そして、そんなアフィリエイターと契約して悪質な広告を放置してしまう広告主が、存在しているのです。
ネット広告の中でも、広告主が直接メディア等に発注して内容もチェックする「タイアップ広告」なら、勝手に芸能人の名前を使うことはありえません。ですが、アフィリエイト広告は「アフィリエイターが勝手に作っている」として放置されているのです。
芸能事務所の対応は?
こうした悪質なネット広告の問題に対し、芸能事務所やテレビ局側はどのような対応を取っているのでしょうか。まずは、冒頭で紹介した坂上忍さんの所属事務所に聞いてみました。
「こうしたネット広告について、ある程度存在を認識をしています。悪質ではありますが、現時点でこちら側から、取り立てて何らかの対応を取ることはしていません」(JK企画)
続いて、マツコ・デラックスさんの所属事務所はどうでしょう。
「広告をご覧になった方から苦情が入るだけでなく、タレント自身の評価にも関わってきてしまうため、悪質なネット広告の存在には、非常に迷惑しています。現時点では、削除、修正を求める、あまりにも悪質な場合には、弁護士を通じて法的な措置を検討する、といった対策を講じています」(ナチュラルエイト)
最後に「特集が組まれた」と謳われていたNHKはどうでしょうか?
「ネット広告については、こちらで発見する場合や、視聴者の方からご連絡をいただくこともあります。その中で、NHKの著作物を使用していると判断した場合は、著作権法の観点から削除の要請を行っています。
また、NHKが放送でご紹介した事実を引用される場合については、それを妨げるものではありませんが、その事実に嘘があったり、著しく誤解を招くような表現が含まれる場合は、個別に判断をして対応しています」(NHK広報)
いずれの団体も「広告運営側から広告料を受け取っている事実はなく、こうしたネット広告とは全く関係がない」とのことでした。