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副業を始めた人が感じる「難しさ」とは?体力・健康より避けられない問題

仕事に疲れて起きているふりをしながら居眠りしている人

Photo : Shutterstock.com

近年、生活費や将来の不安に備えるため、副業を希望する人が増加しています。また、収入を補うだけでなく、新たなスキルを身につけたり、趣味を活かしたりする場としても注目される一方で、さまざまな課題やリスクも存在しているのが実情です。

そこで、副業に関する調査結果をもとにその実態に迫り、副業を検討する人々にとって有益な情報を提供していきます。今回は、副業を始めようか迷っている人が不安に感じるであろう副業の大変さ・難しさについて、いくつかの調査結果から経験者の声をまとめました。

時間の問題は避けられない

副業を始めたら、本業だけやっていた時とは異なる苦労が当然、出てくるはずです。実際問題として、本業と副業を兼務する毎日にはどのような難しさがあるのでしょうか。

株式会社リクルート(東京都千代田区)が発表した「兼業・副業に関する動向調査2022」の中には、兼業・副業の経験者に対して「難しいと感じた瞬間は?(複数回答可)」と聞いた項目があります。

その結果は、次のとおりでした。

1位・・・休日などの休息時間が減少する(30.8%)
2位・・・本業との両立(時間管理)が難しい(26.3%)
3位・・・体力面や健康面の管理が難しい(24.2%)
4位・・・本業の業務に支障が出る(22.4%)
5位・・・本業の会社での立場が難しくなる(上司や同僚から嫌がられる)(21.7%)

1位と2位は、時間に関する問題です。空いた時間に仕事を1つ増やすのですから、休息時間が減ったり、本業と副業の時間管理が難しくなったりと、何かしらの問題が発生するようです。

そこに、体力面・健康面での影響が加われば、本業にも支障が出てくるに違いありません。本業のパフォーマンスに支障が出始めれば、本業の勤務先で副業が認められていたとしても、本業での立場が難しくなると考えられます。

副業をプラスに感じる人が総じて多い

ただ、この回答は、副業経験者が副業中に「難しいと感じた瞬間」の内訳です。そもそも論として、副業に対し「難しい」と感じない人も存在するに違いありません。

現に、株式会社マイナビ(東京都千代田区)の「副業に関する意識調査」では(2021年発表と少し古い調査ではあるものの)、副業そのものに対する印象として、ネガティブよりもポジティブな意見の方が多いとわかります。

「副業を実際にやってみて、どんなことを感じたか(複数回答)」の問いに対しては次のような答えが上位に並びました。

「やりがいを感じた」(32.8%)
「視野が広がった」(31.4%)
「人脈が広がった」(31.4%)
「時間のやりくり・管理が難しいと思った」(21.9%)

要は、ポジティブな意見の方が多いと分かります。「副業を実際にやってみて、満足しているか(単一回答)」の問いに対しても、回答者の比率は次のようになっていました。

満足(とても満足+やや満足)・・・65.5%
不満(とても不満+やや不満)・・・6.7%
どちらとも言えない・・・27.8%

副業を始める以上、時間の制約などはどうしても生まれます。しかし、それらのデメリットを差し引いても、副業をする行為自体にプラスの面を感じる人の方が総じて多いと考えられます。

「迷わず行けよ、行けばわかるさ」(プロレスラー・アントニオ猪木さんの言葉)

不安ばかり感じてなかなか一歩を踏み出せない人は、マイナスの影響を頭に入れつつも、必要以上に悲観的にならなくてもいい、そんな調査結果なのかもしれません。

・関連記事
>>>今がつらくても「最後はとんとん」猪木と異なる路線でプロレスをV字回復させた棚橋アニキの人生論

[文・坂本正敬]

[参考]
マイナビ転職、「副業に関する意識調査」を発表 – マイナビ

「兼業・副業に関する動向調査2022」データ集を公開 兼業・副業人材に経営層と同等程度の情報を共有することが生産性向上につながる – リクルート

〈bizSPA!フレッシュ〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。執筆者としては、国内外の媒体に日本語と英語で寄稿。翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近では務める。プライベートでは、PTA広報誌の編集長も兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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