「韓国嫌い」3割に改善もまだ足りない。日本と韓国がもっと深く友情を結ぶべき理由
韓国人、あるいは韓国という国が好きだろうか。bizSPA!フレッシュ読者の若い世代は「好き」「親しみを感じる」といった人が多いだろう。
しかし、年長者世代には真逆の感情を抱く人も少なくないと幾つもの調査が示している。つまり、世代間ギャップが存在する。
とはいえ、若者たちは(そもそも、そんな気などないだろうが)迎合する必要はない。
年長者たちの意識を認識しながらも、自分たちは今以上に韓国に関心を持ち、できる範囲内で交友をもっと深めた方が国益にもかなうらしい。その理由は何なのか。
今回は、清和大学講師、一般社団法人日本カウンターインテリジェンス協会理事、オオコシセキュリティコンサルタンツ顧問などを兼務し、国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障などを専門とする和田大樹さんに、日本と韓国がもっと仲良くすべき理由を解説してもらった(以下、和田大樹さんの寄稿)。
日韓関係は180度雰囲気が変わった
日韓関係と言えば、政治や歴史、領土問題などで多くの課題があり、いい時悪い時をこれまでも繰り返してきた。今日でも、韓国を好かない人は日本に多く、韓国でも同じだ。
日本の固有の領土である竹島(韓国名・独島)を巡っても、双方の主張は平行線をたどり、解決への兆しは全く見えてない。
しかし今日、日韓関係は極めて良好で、互いが互いを必要とする時代に突入している点は間違いない。
前大統領ムンジェイン政権の時、日韓関係は最悪のレベルまで冷え込んだと言われた。韓流ドラマや韓流スターなど文化や社会の相互交流は深まっていたが、政治や外交の世界は関係が悪化した。
しかし、昨年5月、ユンソンニョル大統領が就任して以降、日韓関係は180度雰囲気が変わった。ユン大統領は、対北朝鮮で米国や日本との協力を重視する姿勢を鮮明にした。
ユン大統領が訪日しては岸田総理が訪韓し、ユン大統領を岸田総理がサミットに招待し、NATO(北大西洋条約機構)やAPEC(アジア太平洋経済協力会議)などの国際会議では必ずのように対面した。日韓トップの間には深い友情関係が芽生えている。
日韓関係「良い」と答えた人が双方で最高
外部評価委員で筆者も参加したNPO法人・言論NPOが10月に発表した〈日韓意識調査〉によると、日韓関係が「良い」と答えた人の割合が双方で、調査開始以来最も高くなった。
現在の日韓関係について「非常に良い」もしくは「どちらかといえば良い」と答えた人は日本側で29%、韓国側で12.7%と最も高くなった。
今後の日韓関係については「良くなっていく」もしくは「どちらかといえば良くなっていく」と答えた人は、日本側で38.5%と去年より8.6ポイントも高くなった。
この数字は、あくまでも日韓「関係」への印象である。
そもそも論として、韓国に対し「良くない」印象を持つ日本人は、昨年の〈日韓意識調査〉と比較して40.3%から32.8%に減少し「良い」印象が30.4%から37.4%に増加した。
日韓「関係」についても、韓国そのものに対する印象についても、調査開始以来最高の状況を記録した事実は1つの安心材料となる。
中国の現状打破に対抗する上で韓国との協力は重要
今後の国際情勢を考慮すれば、日韓関係は冷え込むのではなく、関係を密にしていく必要がある。
今日、ウクライナではロシアによる侵略が続き、台湾では有事を想定した動きが市民の間で広がっている。これまでの世界秩序を主導してきたアメリカの影響力は相対的に低下し続け、現状を打破しようとする中国やロシアなどの行動に拍車が掛かっている。
北朝鮮の核ミサイルの挑発も続いている。要は、北東アジアでは、中国やロシア、北朝鮮といった現状を変更しようとする勢力の活動が強く懸念されるのだ。
ウクライナやイスラエルの紛争にアメリカは積極的に関与していない。台湾有事の際、アメリカは積極的に関与するのか懐疑的な意見も一部である。
このような状況において日本としては、同じ民主主義国家である韓国との協力、良好な関係が極めて重要になる。
アメリカは、日韓双方が軍事同盟国なので、日韓関係の冷え込みを望んでいない。同盟国同士が良好な関係を維持し、米国と共に3カ国で、北東アジアの平和と安全に寄与したいと求めている。
今後、北東アジアを巡る安全保障で鍵を握る国は中国だ。中国の現状打破に対峙(たいじ)する上で韓国との安全保障協力は重要になるだろう。
また、朝鮮有事というシナリオが仮に現実のものとなれば、韓国で生活している6万人もの日本人を退避させる上で韓国との協力は欠かせない。
韓国の大統領任期は1期5年である。次期大統領が日本との関係を重視しなくなり、日韓関係が再び冷え込むリスクは十分にある。しかし、国際情勢の変化から考えても、日韓関係がより密になる状況が望まれる。
そのためには、韓国に対して悪い印象を年長世代ほど持たない若い世代の草の根の相互交流が、国益を考えても重要になってくるのだ。