「次々と内定を得たのに」一流企業の最終面接に落ち続ける29歳エリートの本音
面接官から質問が集中する仕掛け
最終面接を受けるまでにすべき準備について、仲山さんは「最終では、受験者のキャリアの近未来と会社や事業のそれがマッチしていることに加え、受験者がその事業で活躍する姿を多くの面接官がしっかりとイメージできるように誘わないといけない」と語る。
「そのためには、中期経営計画などにも目を通し、経験にもとづく分析や視点を面接では丁寧に伝えたい。例えば『こういう経験や実績があり、こんな具合に新しい事業を捉えていて、そこでこんな働きをしてこのように貢献したい』と言えるようには準備をしておきたい。
本来は、最終ではそのようなことをあえて言わなくとも、面接官から質問が集中するようになっているのが好ましい。1次や2次では過去の実績を強調しつつ、それが将来の事業にこう活きる、と感じ取ってもらえるような内容にしておくと、なおよいだろう。その内容が最終の面接官に人事担当者から伝わるはずであり、そこまで意識して準備をしておくべきだ。
つまりは『こういう経験や実績があり、こんな具合に新しい事業を捉えていて、そこでこんな働きをしてこのように貢献したい』といった視点での一貫性である。この一貫性は毎回の面接(1次、2次など)を終える都度に、PDCAサイクルを回し、問題点を修正すると、最終での回答のブレがなくなり、磨きがかかる。男性は、この意味での準備が足りないので不採用が続くのではないだろうか」
実績やスキルをアピールする人が大半
確かに最終では実績や成果は上司や周囲に支えられ、残すことができたと伝えるのは大切だとは思う。私も面接試験に面接官として参加したことがあるが、実績やスキルをアピールする受験者が大半を占めていた。
上司や周囲への感謝を語るのはとにかく、少ない。ほかの受験者との差別化を図るうえでも、これは不利だ。上司や周囲への感謝を語りつつ、実績やスキルをさりげなくアピールするのは最終では特に大切なのではないだろうか。
<取材・文/吉田典史>
【仲山 和秀(なかやま かずひで)】
1976年生まれ。大学卒業後、外資系自動車ディーラーにて人事担当者として、新卒・中途採用計画の立案・実行、給与・社会保険の人事労務を行う。その後、専門商社の人事・研修業務に従事した後、2018年にトランスラクチャに入社。2022年にシニアマネージャー兼新規事業開発部長就任。人事コンサルタントとして大企業、中堅企業、ベンチャー企業の人事制度設計、導入支援および雇用調整などの組織・人事コンサルティング業務に従事する