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老人キラーが出世する当たり前の理由。“面倒な上司”の気分を読み解くコツ

学び

上司のモードは会議のタイミングで判断

 ここまで読み進めてみて、「どうやって相手が『情』モードなのか、『金』モードなのかを見極めることができるのだろうか?」という疑問を抱いた人もいるかもしれません。これは簡単です。たとえば、自分の上司が相手なら、経営者から数字を詰められたあとは必ず、「金」モードになっています。そのほか、上司が営業会議や経営会議に参加したあと、頭の中はおそらく、「金」モードでしょう。

 いつもは酒を飲んでばかりで、「あの仕事、うまく進んでるの?」などと尋ねる程度で仕事の詳細など何も気にしていなかったのに、いきなり、「数字はどうなってる?」「進捗を詳しく教えて?」「利益はどれだけ出るの?」などと言い出したら、「あ、この人は『金』モードに入ったな」と思ったほうがいいでしょう。

 大切なのは、「機を見ること」です。これは相手のモードや気持ちの問題なので、いつもなら喜ばれる言葉も、モードを間違えると全く効果がないばかりか、「お前は俺をバカにしているのか?」と怒られることにもつながりかねない。つまり、口先だけのテクニックは通用しないのです

ずっと一緒にいるほうが損な上司は?

パワハラ防止

 経済的インセンティブが通用しない相手を、言葉だけで操ろうとするのはより一層、不可能な話です。それこそ、『砂の惑星』のベネ・ゲセリットの「ヴォイス」のようなものでしょう。ただ、地球に「ヴォイス」は存在しないので、相手がどういう状態にあり、いまはどんなインセンティブを大切にしているのかをしっかり観察しておく。そして、そのときに適した言葉や行動を取れれば、「相手を動かす」ことができるのです。

 最も重要なのは、相手を間違えないこと。「言葉の通じない人々」の言動はパワハラやセクハラと紙一重です。時にはせっかく取り入ろうと我慢強く付き合い続けても、相手が全く力を持っておらず、何もしてくれないこともあります。

 最悪なのは、十分に力を持っているのに、出し惜しみしたり、面倒くさがったりして、全く便宜をはかってくれないタイプです。このタイプは周囲から最も嫌われますし、トラブルを起こしがちです。「この人は出し惜しみタイプだ」と思ったら、いままでの労力が惜しくなるかもしれませんが、ずっと一緒にいるほうが損なので、すぐにその場を離れましょう

 そして、忘れないでほしいのが、「ゴマすりだけで出世するのは無理」だということ。ゴマすりをしていて、もらえるのはあくまでチャンスです。もらったチャンスを活かすも殺すも、あなたの実力次第です。

<TEXT/上念 司(経済評論家)>

1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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