“悪質運転”の増加で、自転車の取締り強化へ。知らずに捕まる「違反ポイント」も
2022年10月、自転車の交通事故が後を絶たないことを受け、警視庁が重い腰を上げた。悪質な自転車の運転に対して、いわゆる「赤切符」を積極的に切るなど、取締りを強化するとしているのだ。
諸手を挙げて歓迎したいところではあるが、免許制ではない自転車の運転に関しては、各々“セーフ”の認識が異なっていそうな気もする。実は自分も取締りの対象だった……なんて事態もあり得るだろう。
はたして、どんなことが違反になってしまうのか。特定非営利活動法人自転車活用推進研究会の理事で、自転車に関する著書も多い自転車評論家の疋田智氏に話を聞いた。
「取り締まり強化」は脅し?
――自転車にも赤切符を積極的に切っていくという警察の方針について、疋田さんはどのように見ていますか?
疋田智(以下、疋田):警察はこれを、何年かに1度言っているんですが、実はあまり実効性はないんですよ。自転車の事故が増加し続けていることを受け、「なんとかしないと!」と、いわば「脅し」をかけているんだと思います(笑)。
――なぜ実効性がないんですか?
疋田:自動車の取り締まりに、赤切符と青切符があるんですが、青切符は行政処分で、前科がつきませんし罰金ではなく反則金という扱い。一方で赤切符は、刑事処分になるので前科がついて罰金を払うことになります。
自転車の違反が「ほとんど青切符」の理由
――自動車なら駐車違反など、軽微な違反は青切符ですね。
疋田:ところが、青切符の制度が自転車にはないんですよ。これで本当に赤切符を積極的に切ったら、夜に無灯火で走っていたなどの軽微な違反だけで赤切符を切られて、前科1犯になってしまう。しかも、刑事裁判になるので国や自治体の作業も煩雑になって面倒です。だから、自転車の違反にはほとんど赤切符が切られることはなかったわけです。