優秀な人ほど要注意。ドラッグや酒に逃げて「病みやすい人」の特徴
「常に時間が足りない」「大事なことに使う時間が欲しい」日々の忙しさからこのように思うことは多いでしょう。みなさん有意義な時間を増やす方法、知りたくありませんか? 自身のブログ「パレオな男」で月間250万PVを集めるほどの人気ブロガーである、科学ジャーナリストの鈴木祐さん(@yuchrszk)。
今回は、鈴木さんが2022年10月に出版した『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)より、「時間効率を求めることのデメリット」についての項を紹介します(以下、同書より抜粋)。
時間効率の追求が時間不足を起こす
「時間がない」と感じる人は増え続けているのに、実際は先進国の大半で自由時間の量はほぼ変わっていない──。なんとも不可解な話ですが、このような事態が起きる理由として、多くの社会心理学者は、「時間効率の過度な追求」を原因に挙げています。
短い時間で最高の成果を残そうとしたり、無駄なタスクをすべて消そうとしたり、作業スピードの最適化を試みたりと、生産性にこだわる態度こそが問題の根源なのだというわけです。時間の効率や無駄な作業を意識するのがなぜ悪いのか? そして、効率にこだわる態度がいかなる問題につながるのか?
効率追求の難点について複数のポイントを挙げておきましょう。効率性や生産性にこだわりすぎる人には、次のデメリットが存在します。
デメリット①「人生はやるかやらないかだ」でメンタルが病む
ビジネス書の世界などでは、「人生はやるかやらないかだ」といったアドバイスをよく耳にします。だらだらと悩んで時間を費やすのではなく、とにかくスピーディに行動を起こして効率と生産性を高めることの大事さを訴えた言葉ですが、下手に実践すると、メンタルの悪化につながります。
一例として、アリゾナ州立大学などが、高学歴で裕福な学生の問題行動を扱ったレビュー論文を見てみましょう。ここで研究チームが調べたのは、裕福で頭が良い学生ほどメンタルを病み、ドラッグや酒に逃げ込むケースが多いのはなぜか、という問題です。貧困にあえぐ若者に問題行動が多いことは昔から知られていましたが、近年では裕福で学歴が高い学生にも似たトラブルが増えてきました。
具体的には、優秀な学生ほどタバコやドラッグの使用率が高くて社会のルールを破り、教育水準が高い地域でもアルコールとマリファナの消費が多いとも報告されています。もちろん優秀な学生がみな問題を抱えているわけではありませんが、全米の基準と比較すれば、深刻な不適応を示す割合が大きいのは確かなようです。