難ホールをどう攻略する?プロゴルファーの思考法/三觜喜一
教える側の経験則や主観で語られてきた既存の指導法とは一線を画す論理的なレッスンで、YouTubeチャンネル登録者数40万人とゴルファーから絶大な人気を誇るティーチングプロの三觜喜一氏。「自身の集大成」と位置付けるゴルフレッスン本『誰も知らなかったゴルフの教科書』が発売された。そんな彼が『週刊SPA!』で1年半に渡って繰り広げてきた“誌上レッスン”をここに公開!
Lesson65 ラウンド時のプロの思考を解説
【前回を参照】⇒Lesson64
約1年半にわたってゴルフの真実を追求してきたこの連載。これまでは基本となる技術面にスポットを当ててきましたが、今回からはいよいよ実戦編に入ります。習得した技術を存分に生かしてスコアアップを目指しましょう!
プロがラウンド中に何を考え、何を意識しながらラウンドしているか。技術面のみならず、こうした“プロの思考”を知ることはスコアアップに欠かせません。今回からは実際に私がラウンドし、その一端をご紹介していきます。
まずは、大箱根カントリークラブの1番ホール。なだらかに打ち上げる、スタートホールのティーショットからです。こうした打ち上げのホールでプロが気をつけるのは「景色に体を反応させない」こと。打ち上げでは、コースなりに打とうとして無意識に体が早く起き上がりがち。
こうなるとフェースが開き、ヘッドが下から入ってチーピンが出てしまいます。また、右へプッシュアウトすることもあるので、平らな場所で振る際と同様のスイングを心がけるのです。
左OB・打ち上げのホールで何を意識する?
攻略面では、ホールを真ん中から左右2面に分け、右面に打つか左面に打つかをジャッジ。判断のポイントは、「いかに0点を取らないようにするか」です。
ここでの0点は左のOB。右の林、両サイドのバンカーも避けなければなりませんが、パー5なのでバンカーはそれほど気にしません。右の林もドライバーなら越える距離なので、OBにさえならなければいい。ということでこのホールでは狙いは右面になります。
次はどんな球を打つかを考えます。ここでは左が絶対ダメなので右に曲がるスライス系の弾道が安全。この日は左からの風もあって好都合なので、右寄りにティーアップし、フェアウェイ方向を向いてスライスを打ちます。
持ち球がフック系の人は、左のティーマーク寄りからフックを打つ作戦をとってもOK。僕もドローを打てますが、このケースでは左からの風に流されて右にすっぽ抜けるリスクがある。風の影響も含めると、スライスで左から回してホール右面に打っていくほうが、確実にOBを避けられるわけです。
結果的に右のラフに行ったとしても、スタートホールとしては十分。このように、ホールの状況と自然条件、さらに持ち球を考慮して何ができるかを見極めればスタートホールのミスは防げます。
【Lesson65 結論】
ホールの状況と自然条件、持ち球を考慮して“安全策”を見極める
<構成/舟山俊之>