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転職で失敗する人の特徴。20代で収入アップ目的の転職は正しいか?

学び

 さらに、単純に収入のアップを動機に転職したケース。もちろん働くうえで、収入が大いに越したことはないのですが、20~30代という若い世代はまだまだ経験を積み実力をつける「インプット」世代です。

生涯年収で考えると「年収目当て」は避けるべき

渡辺紀子

渡辺紀子さん。ハイドリック&ストラクルズ(ナスダック上場)パートナー、日本企業の総責任者

 熱意を持って打ち込めるような「やりたい仕事」より、「収入はよいが、あまり好きではない仕事」を選んでしまうと、当然、身が入りません。若い時代の5年、10年、よい経験を積んだか、苦労してきたか、ということは40代以降のキャリアにおいて大いに「効いて」きます。

 結果的に生涯年収を見た場合、目前の収入より「打ち込める仕事」を選んだほうがよいのは明らかです。

 逆に成功するのは「目的がはっきりしている」ケースです。例えば新卒では知名度だけで会社を選んでしまったが、自分がやりたいのは消費者向けマーケティングだとわかり、それができる環境へ転職できたケース。

 あるいは、海外志向がありその可能性の高そうな会社を選んだつもりも、機会がなく、即海外出張ができるような小ぶりの会社に転職できたケース。あるいはずっと財務経理を極めたいと思っていたが会社の「ゼネラリストを育てる」という方針で、法務部に異動してしまい、「長く経理財務のキャリアが積める」会社へ転職できた場合などです。

社会人5年目からの仕事との向き合い方

 会社生活も5年を過ぎると、自分のやりたいことや志向性が見えてくるものです。それにしっかりと向き合い、目的が実現できる転職を目指して活動すればおのずと成功の道は見えてくるでしょう。

 昨今は働き方も多様化してきました。以前は転職活動にあたって「ワークライフバランス」を重視していることは、ともすればマイナスでした。どの企業も、ハードワーカーを求めている時代があったのです。

 逆に今はワークライフバランスの取れた働き方で成果を出せるビジネスマンを評価する流れもありますし、副業を解禁する企業も徐々に増えてきました。

「名刺を何枚も持っている人は怪しい人」と思われた時代がつい最近まで続いていたことを考えると、働き方や生き方に関する日本人の考え方の変化に驚かされます。

<TEXT/渡辺紀子>

ハイドリック&ストラクルズ(ナスダック上場)パートナー、日本企業の総責任者。東京大学中国語中国文学科卒業。豊田通商、縄文アソシエイツを経て現職にてヘッドハンティング業務に従事。社長や最高責任者、社外取締役、若手幹部候補、スペシャリストのスカウトで多くの実績がある。対話による信頼関係構築を重視し、毎月150人以上の候補者、経営者と面談を行い、最前線で活動

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