ハワイ×日本の二拠点生活が激変。“実業家のカリスマ”が地方に注目するワケ
本で狭く深く伝えることの面白さ
水野:近年は、読者と直に接するオンラインサロンを開催し、盛況だと聞いています。オンラインサロンのきっかけともいえる出来事があったのでしょうか?
本田:はい、オンラインサロンを開く以前は、読者と交流する機会はほとんどなく、DMでメッセージをいただいたり、トークイベントに来られた方と軽く話したりするという程度でした。しかし2014年に『なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか』を出版したときに、この本を読んだシェフから「人生が変わりました」というくらいの大きな反響をいただきました。
この反響から、本は「考えを広めていくことだけではなく、狭く深く伝えていくことに意義があるんだ」と実感するようになったのです。2014年の出版をきっかけに多くのシェフと繋がり、今のレストラン関係の活動にもつながっています。振り返ってみると、この体験がのちのオンラインサロンのいわば出発点になっているのかもしれません。
水野:「Honda Lab.」というオンラインサロンはいつから、どんなことをされているんですか?
本田:コロナ禍の2020年、7月からサロンをスタートさせました。「人生は壮大な実験だ」をコンセプトに、メンバー主導型でさまざまなプロジェクトを行っています。各業界のトッププロにゲストスピーカーをお願いしたり、経営者向けの合宿を開催したり、幅広いコンテンツがあります。
こうしたイベントを通してメンバー一人ひとりの挑戦を応援する緩やかなつながりがある、というのが持ち味です。ちなみに、サロンに所属したことをきっかけに本を出した人が何人も生まれています!
サロンで生まれた密なつながりの価値
水野:2年が経ち、大きな広がりを感じますね。サロンの役割をどう捉えていらっしゃるんでしょうか?
本田:オンラインサロンを約2年続けてみて、数百人のコミュニティがあるということの強さを実感しています。不確定要素が多く、かつ「個」の時代が加速するなか、「1人でいる」というのはあまりにも弱い。
常に走りながら考えなければならない環境のなかで、価値観でつながるコミュニティがあれば、1人でやるよりずっと多くの挑戦と検証をしながら進んでいくことができます。そういった意味でサロンは、「個人の可能性を広げるよりどころ」みたいなものなのでしょうね。
水野:こうして幅広い活動をされているなかで、最も価値を感じる瞬間はどんな時ですか?
本田:たくさんの仲間と一緒に活動をしているので、みんなで取り組んだプロジェクトが成功した際はやはり大きな価値を感じます。「Destination Restaurants」の取り組みでも、知られていなかった地方のレストランが人気になっていく様を見るのも、やはり達成感があります。
昨年、1位に輝いた富山の「レヴォ」も一躍有名になりました。こうした地方に眠る宝のようなレストランをみなさんが知ることになったとき、活動の意義も感じます。