「ひろし」は救世主だった。“ゆかりシリーズ”の三島食品に聞いた、独自の哲学
色彩商標登録に承認される日を夢見て
ふりかけを作る際のこだわりを聞いたところ、「味のバランスやパッケージデザインなどの商品設計が一番大変です」とのこと。パッケージといえば、2022年3月25日、「チキンラーメン」のイメージでもあるセピア色と白、オレンジの配色が、色彩商標として登録された。「色彩商標の登録は1.6%」(AdverTimes調べ)と、狭き門だといわれている。
ひろしは黄緑ベースの配合で、印象的だ。ゆかりも昔ながらの紫と緑、赤の配色になっている。この配色を見せられたら、多くの人は「これはゆかりだ」と回答するだろう。ただ長井氏は「色彩商標登録は難しいようですが、いつの日か承認いただける日が来るとうれしいです(笑)」と回答。
ライバルとの差別化は「原料と加工」に
ふりかけといえば「のりたま」丸美屋食品工業や「大人のふりかけ」永谷園がある。他の大手メーカーとの違いを聞いてみた。
「弊社は広告宣伝に積極的に取り組んでいないんです。創業者からの考えで、広告宣伝費は控えて、その分よい原料を買うための資金に使用する会社方針があります。あとは加工にもこだわっています。かつお節は節を自社の工場で削って味付けしています。ゴマは自社でいったり、海苔は板海苔を焼いて細断しています。自社でできることはできるだけ自分たちで加工しています。
また、SNSコミュニケーションも外部に依頼せず、広報のメンバーでやっています。消費者様と直接つながれるのは大きいので、そのあたりに力を入れています」
今後の展開については「これからも品質向上や新商品開発に力を入れていきたい」とのこと。ただ、コロナの自粛期間明け後だと売り上げは変わったという。
「コロナ前は、業務用(学校給食やレストラン、ホテル等)、家庭用の商品がそれぞれ半々くらいの売り上げでした。でもコロナになってからレストランさんが時短営業になったり学校がリモートになったりして、その分の売り上げが下がってしまいましたね。でも2021年頃にちょうどひろしが発売になって、売り上げが伸びて、結果トントンくらいです」