コロナで変化する不倫、探偵に聞く“リアルな事情”「ラブホテルも巧妙化」
被害者に寄り添うのも探偵の使命
愛していた女性に裏切られ、700万円を持ち逃げされた男性。栗村会長がまず心配したのは「この男性が自死を選ばないか」だったという。
「真実を告げた後、当然ですがショックを受けておられました。それまでもLINEで密にコミュニケーションを取っていましたが、この後にしばらく連絡がつかなくなってしまったんです。彼のことが心配でたまらなくなりましたが、最終的には生存を確認。励ましの言葉を送り続けました」
このように、栗村会長は全国にフランチャイズ加盟店を多く抱えながら、依頼者1人ひとりと自らコミュニケーションを取ることを重視している。依頼者は全国に分布するから、日本中を飛び回って調査に邁進しつつ、LINEを使ってほぼ1日中さまざまな依頼者の声を聞いている。
「探偵の仕事は証拠を掴んで終わりではなく、依頼者に寄り添い、アフターフォローをすることも仕事のうちだと思っています。だから、何か月もLINEでやり取りを重ね、時には泣きながらかかってくる電話にも親身に対応するんです。だって、相談者の方があまりにもかわいそうじゃないですか」
ドラマの探偵とは別物
かくいう栗村会長も、探偵を志したきっかけに自らの父親が浮気していた過去が関係しているという。自らも「被害者」だったからこそ、依頼者に寄り添える側面もあると感じた。
「私は昔から人に何かをしてあげることが大好きで、探偵の仕事も大好きなんです。でも、探偵のイメージは『うさんくさい』『怖い』というものがほとんど。正直に言って探偵会社の大半は詐欺みたいなものなので、仕方のない側面もあります。ただ、私の好きな探偵という仕事に実直に向き合うことを通じて、探偵へのイメージを変えたいと思っています」
名前こそ知られているが、謎に包まれていた「探偵」の実態。推理もののドラマなどで描かれる姿とは全くの別物で、「証拠の確保」と「相談者とのコミュニケーション」こそが探偵の業務なのだ。非常に泥臭い仕事といえるかもしれない。
<取材・文/齊藤颯人 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
【栗村崇】
総合探偵社シークレットジャパン会長。1972年7月19日、岩手・大船渡市出身。高校卒業後、大蔵省に入庁。その後、運送業、不動産業などを経て、探偵に転職。2005年に独立し、岐阜県各務原市で総合探偵社「シークレットジャパン」を創業。会社では年間300万件を超える案件に対応