前歯が全壊、ホームレス生活…現役探偵が語る「過酷な現場」の数々
探偵に向いているのは「想いの強い人」
実際、毎月数百件の問い合わせがある一方、採用されるのは月に1名ほど。しかも、採用後も業務に慣れるまでは栗村会長が自ら依頼者とコンタクトを取り、業務の流れを教えていく。通常のフランチャイズでは考えられない手厚さだ。
では、高倍率を勝ち抜いて採用される応募者とはどのような人材なのか。栗村会長は「想いが強い人」を優先して選ぶという。
「ウチのメンバーに多いのは、昔ヤンチャしていた中年の男性ですね。探偵には定年がないので、『死ぬ前に人の役に立ちたい』という思いをもって応募してくるんです。人の痛みが分かりますし、想いも強いので、そういう人は積極的に採用します」
「探偵が忙しくない世の中」が理想
探偵業を愛し、全国1人ひとりの依頼者と誠実に向き合っている栗村会長。シークレットジャパンは毎月依頼の絶えない人気探偵事務所に成長したが、「探偵が忙しいようじゃダメですよ」とも語る。
「探偵が忙しいっていうのは、つまり世の中に『探偵に依頼しなきゃいけないこと』が溢れてるってことになりますよね。困り事や悩み事がなければ、探偵にはなにも頼まないわけですから。だから、日本が『探偵が忙しくない国』になってくれたらいいんですけどね」
確かに、世の中が平穏になれば、探偵の仕事はなくなるだろう。しかし現実の問題としてバラ色の未来が望めない以上、探偵の重要性は今後も増していくと思われる。シークレットジャパンの今後に注目したい。
<取材・文/齊藤颯人 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
【栗村 崇】
総合探偵社シークレットジャパン会長。1972年7月19日、岩手・大船渡市出身。高校卒業後、大蔵省に入庁。その後、運送業、不動産業などを経て、探偵に転職。2005年に独立し、岐阜県各務原市で総合探偵社「シークレットジャパン」を創業。会社では年間300万件を超える案件に対応