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前歯が全壊、ホームレス生活…現役探偵が語る「過酷な現場」の数々

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路上生活者のふりをして西成で1週間潜伏

路上生活者

 家出息子の捜索は、郵便物の転送先や行先だと疑われる箇所をつきとめて調べていった。

「依頼を受けてから、絶対に見つけたいという思いは強かったですよ。時間もないなかで全力で捜索していると、どうやら息子さんは大阪の西成にいるらしいと分かってきました。そこで居場所を突き止めようと、1週間路上生活者のふりをして生活し、情報収集を重ねていきました

 捜査中、ほかの路上生活者から煙たがられることもあったというが、事情を話したうえで「ショバ代」を払い、情報を教えてもらうこともあったという。そして、息子が西成でアダルトDVDの焼き増しを仕事としていることを突き止める

「息子さんが建物から出てきたところを捕まえ、『頼むから来てくれ!』と懇願しました。最初は抵抗されましたが、家に戻らないと絶対に後悔すると思ったので、ここは譲りませんでした。最終的になんとかお父様と再会させることができたときは、息子さんを含めみんな泣いていましたよ。もちろん、私も号泣していました」

フランチャイズでも「1人事務所」

 感動の再会から約1週間後、父親はこの世を去ったという。栗村会長の執念が奇跡を起こしたのだ。

 探偵会社のトップでありながら、自ら依頼者と言葉を交わし、調査の最前線で働く栗村会長。同社は、全国各地にフランチャイズ加盟店を抱える事業形態を採用している。

「ありがたいことに、加盟の問い合わせが絶えないんですよ。でも、いわゆる普通のフランチャイズと違って、本部から指示出しをするつもりはありません。フランチャイズといってもたいていは『1人事務所』なんです。探偵は全国からの相談に対応する必要がありますから、依頼者の近くで稼働できるメンバーがチームをつくって調査にあたります」

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