KDDI社長が示した「謝罪会見の見本」。見習うべきポイントをプロが解説
2022年7月2日にKDDIの大規模な通信障害が発生し、翌3日に同社代表取締役社長の髙橋誠氏が記者会見を実施。多くの人を混乱させる事態となり、バッシングの嵐が寄せられると思いきや、会見時の髙橋氏の対応を評価する意見が多数見られたのは記憶に新しい。
そもそも、記者会見・謝罪会見と聞くと、批判されることはなくとも、評価されるケースは珍しく感じる。なぜ髙橋氏の会見は上手くいったのだろうか。危機管理広報コンサルティングなどを展開するプラップコンサルティング株式会社の代表取締役社長・井口明彦氏にこの1件を改めて振り返ってもらった。
なぜ例の会見は評価されたのか
まず、髙橋氏の会見が評価された要因を聞いてみた。井口氏は「いまだ復旧していない先行きが不透明なフェーズだったタイミングで、記者会見が行われたことが大きいです」と述べる。
「そのうえで、会見内では通信障害の原因を示したうえで『総務省からいただいている課題をしっかり認識して、再発防止策を進めて全力で復旧活動を進めてます』という言葉を使っており、『復旧に向けて全力を注ぐ』という主旨のメッセージを表明しました。
また、髙橋氏が技術系出身ということもあり、『メンテナンスの一環としてトラヒックのルート変更の実施中に設備障害が発生しています』『ネットワークの再構築によって再開を今目指している状況です』という復旧に向けた道筋を示した現場目線の説明には、説得力があり、聞いている人に安心感・共感を与えた点も評価できます。
まとめると、髙橋氏のスポークスパーソン(登壇者)としての資質が高かったうえで技術系のキャリアが活かされた会見でした」
ほとんどの企業の謝罪会見は評価されるべき?
ちなみに、これまで見てきた中で最も評価すべき謝罪会見を聞くと「特にありません」とキッパリ。「一部の企業を除き、ほとんどの企業は評価すべき会見を行っていると考えています」と話した。
ワイドショーなどで頻繁に取り上げられるため、「謝罪会見=バッシングの嵐」というイメージが根強い。しかし、世の中で行われている謝罪会見は意外と誠実なものがほとんどなのかもしれない。