財務省の主張「日本経済はいずれ破綻」は本当か?騒ぎ続ける理由とは
金利が1%上昇すれば資産は10兆円増加
元財務官僚の小黒一正法政大学教授は19年、金利1%上昇で利払費10兆円増、成長率1%上昇で税収0.7兆円増という主張をしていた。実は、名目成長率の上げ幅と名目金利の上げ幅は長期的には同じだ。その理屈でいけば、経済成長すれば金利も上がって税収よりも利払費が多くなるから、いずれ財政破綻するという話になる。
だが、統合政府BSを見ればそれは誤りであることがわかる。小黒氏の理屈では資産を見ていないからだ。実は金利が1%上昇すれば、金利収入(資産)は10兆円増加する。
実質的に国には借金がない
こんなのは誰でもわかる話だが、一般的に知られていないのは、財政には何も問題がないということを財務省が明かしたくないからだ。
だから相変わらず「政府の負債が大きいから増税が必要だ」といい続けて財政破綻を煽っている。その根幹には天下り先の確保のために権限を強化しておきたいという財務省の思惑がある。
筆者が統合政府BSをもとに「実質的に国には借金がない」というと、財務省の洗脳を受けている人にはトリックのように見えるらしい。
<TEXT/嘉悦大学ビジネス創造学部教授 髙橋洋一>