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財務省の主張「日本経済はいずれ破綻」は本当か?騒ぎ続ける理由とは

コラム

軽減税率は天下り先確保へとつながる

たばこ

高橋洋一『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない 』(扶桑社新書)

 最近でいえば新聞の軽減税率などがわかりやすい。一律増税ではなく、ケースバイケースで税が軽減されたり、特定の業界は増税の例外とするといった優遇措置がとられる

 たとえば14年に消費税を5%から8%に増税したときも軽減税率が議論され、10%への増税でもキャッシュレス決済なら中小店舗で5%、大規模チェーン店などで2%のポイント還元が期間限定で実施されるなどした。

 実はどういう例外措置が設けられるかは財務省のさじ加減だ。例外措置を設けるためにもっともらしい理屈をつけるが、実はこの業界を特例にすればこんな利益があるだろうという計算が裏で働いている。その業界への天下り先の確保につながるからだ

歪められた「統合政府バランスシート」

バランスシート

財務省「国の財務諸表」より筆者が作成

 日本の借金は、財務省が公表している国のバランスシート(以下:BS)を基に、国債と借入金、政府短期証券の残高を合計して1200兆円以上あるとされている。だが、この借金はないのと同じだ。それはなぜか。金融緩和政策により、日本銀行が国の借金である国債を買い続けており、いずれこの借金は消えるからだ

日銀

編集部で作成

 ここでのポイントは、政府と日銀の財布を一体とみなすことと、国債を買う原資として通貨発行権を活用していることだ。日銀には政府が55%出資している。日銀法では政府による役員任命権と予算認可権を定めており、日銀は政府のコントロール下にあると考えられている。

 民間の会社なら、親会社と子会社の関係だと会計上も連結対象にしておかなければならない。これを国に当てはめて連結ベースで作ったBSが「統合政府BS」だ。経済学でも日銀と政府を統合政府として一体のものとして分析する。借金が多いから財政破綻につながるという論は、この統合政府BSを見ればウソだとすぐわかるのだ

財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない

財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない

なぜ財務省は、「日本経済が破綻する」と言い続けるのか?なぜ「緊縮財政」「増税」を言い続けるのか?データを重視した数量理論を展開する髙橋洋一氏が、得意の理詰めの論法で財務省の主張を論破する!

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