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5期連続赤字でも役員報酬はアップ「中堅PC周辺機器メーカー」の危うい現状

ビジネス

半導体不足が事業活動を圧迫…

 しかも、家電事業は売上高の縮小が鮮明になりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で家電量販店などに足を運ぶ人が減り、遠隔授業、リモートワークが広がったことで、一人暮らしをする人そのものも縮小しました。

ピクセラ

事業別売上高

 主力となるAV事業においても、2021年9月期に半導体の供給難が原因となって一部製品の取り扱いが終了に追い込まれるなど、事業の縮小を余儀なくされています

 2022年9月期の業績が予想を下回った要因として、ホームAV事業の新製品開発プロジェクトが計画通り進捗していないことなどを挙げています。家電事業においては、半導体不足、中国のゼロコロナ政策で工場が思うように稼働できず、製品の納入が遅延していると説明しています。

感染拡大が深刻化したのに役員報酬を増額

 ピクセラは2022年7月21日に「業績改善・企業価値向上のための施策について」を公表。ピクセラ社における新たな収益の柱の確保や、A-Stage社における商品ラインナップの拡充などによって企業価値向上に努めるとしています。

 しかし、5期連続の赤字でリソースが限られているピクセラが実行すべきは、選択と集中です。半導体の供給が滞り、中国の工場が計画通り動かせない中で商品ラインナップを拡充することが、本当に収益性を高めることにつながるのか分かりません。

 また、本社面積の縮小で年間5000万円、水道光熱費、交通費、清掃料などを年間1200万円以上削減するとしています。赤字がこれだけ継続している以上、削減すべきは役員報酬のはず。新型コロナウイルス感染拡大で売上高が減少したイオン、三越伊勢丹、ゼンショーなどはすぐさま役員報酬の減額に動きました。

 ピクセラは2021年9月期に、前期から771万円プラスの7311万円が役員報酬として支払われています。役員は1人減ったものの、1人当たりの役員報酬は2020年9月期の1308万円から1827万円へと増加しています。

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