同僚に嫌われたくない、仕事を頼めない…「職場の悩み」を精神科医に聞く
強靭な心を持たなくて良い
最後に、すぐに凹んでしまう人に向け、井上氏にメッセージをもらった。
「生きている限りは、向かってくるストレスをゼロにすることはできません。しかし、そのストレスに耐えるような強靭な心を作ろうとしないでください。硬ければ硬いほどポキッと折れやすくなります。
強靭な心ではなく、向かってくるストレスをさっと柳の木のようにかわせる柔軟な心を目指していきましょう。メンタルのことで悩む人は『まわりに迷惑をかけてはいけない』などと強く思い込んでいる“いい人”であることも多いです。しかし、心の柔軟性をUPさせるためには、誰に対してもいい人である必要はありません。
また、傷ついた心を癒すためにも、普段から自分の趣味や好きなことを犠牲にすることはないようにしたいですね。嫌なことや苦手なことをすべて避けられるわけではないと思いますが、心や体の健康を第一にして過ごしてください」
今回の井上氏からのアドバイスを、ぜひ今後、前向きに進むヒントにしたい。無理をするのではなく、心の持ち方や考え方を変えることから始めてみるのが良いのではないだろうか。
<取材・文/一ノ瀬聡子>
【井上智介】
産業医・精神科医。島根大学卒業。精神科医としてはうつ病、適応障害などの疾患の治療を行う傍ら、産業医としては、人間関係のトラブル等に苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話重視の精神的なケアを行う。さらにSNSや講演、書籍で「ラフな人生をめざすこと」を発信している