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未払い残業代は取り戻せる。CEO弁護士が目指す「泣き寝入りゼロ」の社会

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いまだにFAX文化が色濃い法曹界

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 一方で民事裁判を起こしやすくなると、弁護士の仕事量は増えます。もともと弁護士は書類作成やリサーチなどで多忙なので、今後はますますデジタルツールの助けが求められるでしょう。南谷氏は、法曹界の現状について次のように話しています。

「現在、あらゆる業界でDXが進んでいますが、法曹界はまだアナログでのやりとりが色濃く残っています。具体例を挙げると、裁判に関する書類のやりとりはいまだにFAXで行なっているんですよ。もし100枚の書類を受信すると、仕事に支障が出ますね」

 FAXは時に文字が潰れて読みづらくなるもの。判別が難しい場合には、裁判所から「郵送するか、持ってきてください」と言われることもあるといいます。最近では裁判所でもデジタル化を進める動きがあるとはいえ、「弁護士の仕事では、デジタルツールを活用するのが当たり前」となるには時間がかかりそうです。

法律とITを活用して課題解決をしたい

 南谷氏は東京大学在学中に司法試験に合格。大学卒業後には弁護士事務所に勤務したものの、その後、コンサル会社に転職し、顧客が抱える課題の解決に向き合ってきました。そして2015年、日本リーガルネットワークを創業しました。現在、南谷氏は会社経営とテクノロジーを使ったサービス開発に注力しています。

 掲げるビジョンは「泣き寝入りする人をなくす」「法律とテクノロジーを掛け合わせてサービスを提供する」こと。弁護士を目指したのは「高校生のころ」でしたが、弁護士として働くうちに、『裁判に臨むことがゴールではない』という気持ちが強くなった」といいます。

「弁護士の主な仕事は、法律相談や訴訟に関わる支援です。大切な仕事ですが、どうしても個別案件がメインになってしまい、違和感を抱いていました。私は法の知識を最大限に活用して、もっと構造的に課題の解決に取り組みたかったのです」

 南谷氏は「これからも、泣き寝入りする人がゼロになるような社会になるよう、力を尽くしていきたい」と意気込みを語ってくれました。

<取材・文/薗部雄一>

4歳と1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、
子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている
Twitter:@papayuyu0309
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