補助金目当てに移住を繰り返す「ヤバい移住者」。住民ら怒りの本音
空き家バンクで安く買い、補助金でリフォーム
かつては国内屈指の炭鉱町として栄えた九州北部の某市。現在その面影は薄く、ほかの地方都市と同様、人口は減少傾向にある。ここでも行政が新しい住民を呼び込むために、移住支援制度や空き家バンクなどの政策に力を注いでいる。
だが、その空き家バンク制度の抜け穴を利用するずる賢い人間もいる。本来の目的とは違う事態に、市役所の職員は複雑な心境のようだ。
「ここは周りの市と比べると、移住支援や空き家バンクに行政が着手するのが遅かったんです。なので、今でも行政の大仕事という雰囲気が拭えません。どんなにボロい空き家でも、手当たり次第に持ち主と買い手をマッチングさせようと躍起になっています。空き家バンクは、住むことを前提に宅地としてしか購入できないといった特約がある場合がほとんどですが、なぜかウチの市にはその特約がない。
そこに目をつけた個人投資家が、制度を利用して空家を相場より安く手に入れています。リフォームや建て替えをした後、再び売りに出して利益を得ているのです。投機目的で制度を利用されてしまっていますが、特約がない以上は違法ではないし、市としては見て見ぬフリをするしかないのが現状です」(市役所職員)
投機目的のリフォームに利用されている?
ボロい空き家がリフォームされ、そこに新しい住民が定住してくれれば、行政にもメリットがないわけではない。買い手に魅力的になるようにリフォームするだろうし、地元の業者も潤う。
しかし、同市の移住支援制度に関するホームページにアクセスしてみると、空き家のリフォームに対しても市内の施工業者を利用すれば、補助金が交付される場合があるようだ。市民の税金が投機目的のリフォームに利用されている可能性も否めない。
全国の自治体が行っている移住支援制度を見ると、空き家のリフォームに補助金を出しているところは多い。おそらく、本件は氷山の一角であろう。
<取材・文/藤中一平 SPA! 地方移住取材班>