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「ゆるキャン△」だけじゃない!山梨県が“聖地巡礼の名所”になれた5つの理由

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「聖地化」を楽しむ地元民たち

 そして、最後に挙げる「聖地化」への重要なカギ――それは「多くの住民が聖地化を楽しんでいる」ということだろう。

 大都市居住者にとっては分からないかも知れないが、やはり多くの住民にとって、地元が人気作品に登場することは嬉しいものだ。今や地元民しか利用しないような金融機関や郵便局、公共施設までもが作品を歓迎し、ポスターを貼ってグッズを並べていることも珍しくない。

 このような過程を経て地元で作品の知名度が上がるにつれ、「観光客誘致のため」のみではなく、「近所がアニメの舞台となったことを面白がって」様々なイベントを企画したり、また個人商店が利益に繋がらずとも店をアニメグッズで飾りつけたりする様子もみられるようになった。

 こうした「地元民も一緒になって聖地化を楽しむ」状況こそが、遠方からの聖地巡礼者にも喜ばれ、そしてさらなる集客を生むことにも繋がっているといえるだろう。

山梨県身延町

献血の啓発ポスターも山梨県内を舞台にした「momo」「ゆるキャン△」2作品とのコラボ。地域の様々な場所で「コラボ」が見られるようになり、地元民への知名度も大きく上がった

 コロナ禍ゆえ、多くの人が集まる有名観光地に行きづらい昨今。みなさんもお気に入りの漫画やアニメ、小説などの舞台となった町へと旅に出て、そこでの「日常」を味わってみてはどうだろうか。「作品の舞台ならでは」の思わぬ発見があるかも知れない。

<取材・文・撮影/芝海(しばうみ) 若杉優貴>

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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