「ゆるキャン△」だけじゃない!山梨県が“聖地巡礼の名所”になれた5つの理由
近年、山梨県では県内各地が漫画・アニメ作品の「聖地」として脚光を浴び、多くの観光客を集めるようになってきている。それでは、山梨県はなぜ聖地になれたのだろうか。山梨県内の学校に通う「生まれも育ちも山梨県」の筆者・しばうみ(@shiba_asteroid)が「ジモト目線」で解き明かしていきたい。
首都圏のなかでもちょっと「異質」な山梨県
まず1つめの理由として挙げられるのが、山梨県が「異質な存在」だということだ。
地元の人間である自分が言うのもおかしな話かもしれないが、山梨県という場所は首都圏のなかではかなり「異質な存在」だ。東京都と接しているにもかかわらず、両県は険しい山で隔てられ、直接東京に抜ける鉄道や高速道路もない(鉄道や高速道路は相模原市の相模湖を経由して八王子へと抜ける)。
そればかりか、首都圏に属しているのに「首都圏であること」自体を知っている地元の人間すら少なく、首都圏のなかで最も浮いた存在であるといえる。海無し県で県の外郭がどこも山地で囲われていることのみならず、果樹園や高原、湖などもあり、首都圏のなかでは(海はないものの)ちょっと異質で特徴的な自然景観が多い。
さらに、食べ物に関しても「ほうとう」や「海産物を珍重する」、生活に関しては「若者も車やバイクでの移動が中心」など、首都圏(とくに南関東)の他県とは異なった特徴的な文化が根付いている。それは裏を返せば「山梨県が首都圏で唯一無二の存在」である証拠でもある。
作品の舞台にしたくなる山梨県の特性
そうした特徴的な自然環境ゆえ、もともとアウトドアが盛んであった山梨県。例えば、県内を舞台に高校生たちがキャンプを通して友情を深めていく漫画・アニメ「ゆるキャン△」、また高校生がスーパーカブを通じて友人と出会い成長する小説・アニメ「スーパーカブ」は、どちら山梨県内の山あいの町を舞台としている。
「キャンプ」や「ツーリング」という、普通の高校生にとっては経済的負担が大きいアウトドア趣味が地元で思う存分に楽しめ、またそれらのようすを色彩豊かで特徴的な風景のなかで描くことができるということこそが、山梨県を作品の舞台にしたくなる理由のひとつといえるだろう。
なお、こうした山梨県を舞台とした作品の多くは、県内出身者など地域に縁がある著者によって生み出されている。地元に「作品として残したくなるような風景」が多く存在するということは県民としても誇らしいものだ。