いつも怒鳴ってる母は毒親? 27歳の息子が知った、想定外の事情
「毒親」という言葉が使われ始めて約20年が経ち、日常会話のなかで聞く機会も増えています。また、軽いノリでネタとして使う人もいるようです。そんなありふれた言葉を耳にして自分の親に当てはめ、毒親だと勘違いしてしまうことは危険なことかもしれません。
しゃべり方に問題がある母親
小さい頃から、母の怒鳴るような、ケンカを売るようなしゃべり方に苦労してきたという吉田一平さん(仮名・当時27歳)。シングルマザーとして懸命に働いて自分を育ててくれた母への感謝の気持ちとともに、嫌悪感や憎悪のようなものもあったとか。
「小学生の頃は母のことでよくからかわれ、嫌な思いをたくさんしました。母には、自分のしゃべり方に問題があるという自覚がなく、『吉田さん』と話しかけられても『はぁっ?』と顔をしかめてスゴイ表情で振り返るので、鬼とかクソババァ扱いです」
その流れで、吉田さん自身もからかわれ、仲間外れにされることもありました。また、吉田さんが悪いことをすると所かまわず大きな声で怒鳴るため、思春期になると母とは距離をとるように。話しかけてくる母親を、吉田さんは徹底的に無視したそうです。
気づいたから口をきかなくなった
「話しかけてくるときも、まるで怒鳴ってくるような感じでした。だから、返事をするのも嫌だったんです。そして僕は、母を毒親だと思い込み、気づいたら口もきかなくなっていました。母は何度も力ずくで僕と話そうとしましたが、僕のほうが力は強かったので」
母親より力が強いと自覚したのは、吉田さんが中学1年生の頃。その頃から母との距離は一気に開き、高校受験の進路相談に行ったときも先生が2人の様子を心配したほどでした。けれど2人の仲が修復されることはなく、高校生になってからはさらに悪化。
「高校生になってアルバイトをはじめると、自分で食べたいものを買って自宅へ戻り、部屋に閉じこもるような日々を過ごしました。母親には壊れるぐらい部屋のドアを叩かれたこともありますし、部屋のカギを壊されたこともあります」