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建設業界が“3K労働”イメージ払拭に「甲子園」を開催。3代目理事長の思い

ビジネス

仕事と大会運営の間で疲弊した時期も

建設職人甲子園

建設職人甲子園でプレゼンテーションをおこなう職人

 創業者の初代理事長から2代目理事長にバトンが渡され、2020年に石井氏が3代目理事長に就任。活動を大きく広めたいと、大きな会場を借りてセッティングして、人をたくさん集めていた初代理事長の頃とでは、運営方針が大きく異なっている。

「初代の理事長さんは熱心で、『この甲子園の活動を広めるんだ』という想いが強い方でした。でも運営者は、私たちみたいな建設業に携わる人間。大きなことをやっていくなかで、仕事との両立に疲弊が生まれました。また、大きな会場に人を集めるために『こういうことも、ああいうこともやろう』となり、本当に伝えたいことからズレていったのです」

 仲間が疲弊して去っていくのが嫌だった石井氏は、全国にあった都道府県ごとの各支部を廃止するなど規模を縮小し、チームビルディングに原点回帰。会場は小さくても建設職人甲子園を体感してもらい、「甲子園に出てよかった、携わってよかった」と心から思ってもらえるような取り組みを目指して活動している。

声を大にして「甲子園イイよ!」と言えない

建設職人甲子園

 石井氏自身、建設職人甲子園に参加して感動し、同じような体験をしてほしいと運営側として携わっている。にもかかわらず、出場や運営に携わるようすすめることには葛藤があるようだ。

「何かの会に属するときは、仕事や協力会社が増えるとか、売上が上がるといったことを期待している人が多いんです。でも、甲子園に出たり携わったりしたからといって仕事が増えるわけではありません。しかも、何をやっている会なのかもわかりづらい。だから、声を大にして『甲子園イイよ!』とは言えない、伝えづらい活動なのです。

 ただ、参加することで社員さんの意識が変化し、会社のチーム力がよくなれば自然と生産性も上がります。特効薬ではないけれど、漢方薬のようにジワジワと効果を発揮するんです。甲子園のプログラムを1~10までやった会社さんからは、『よかった』という声をいただいていますし、私自身も甲子園に出場し、こうして活動に携わってよかったと思っています」

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