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上司や経営者の言葉はスルーすべき?“必須のスキル”で仕事もうまくいく

学び

「やり過ごし」が発生する理由は?

職場

 高橋氏が「やり過ごし」が発生するメカニズムを分析すると、まず「上司の指示の曖昧さ」、そして、「仕事そのものの曖昧さ」という2点があるとしています

 たとえば、上司も異動してきたばかりで状況がわかっていないことも多く、それをそのまま受けてしまうと業務が混乱する、優先順位がめちゃくちゃになってしまう。さらにやり過ごさずに指示を受け続けた場合、上司の低信頼性や異質性が組織内で噴出してしまうといったこともあります。

「やり過ごし」とは、こうしたことを避け、組織の機能がロックされないための潤滑油となっている。「指示内容をいったんフィルターにかけて、おかしな指示はその段階で取り除いている」と、高橋氏は分析しています。

スルースキルは特殊な行為ではない

 それでも、強硬に「俺の指示が聞けないのか!」という上司は、『できる社員は「やり過ごす」』の中で「バカ殿」とも表現されています。「バカ殿」とは、組織の非公式な機能として存在する「やり過ごし」に乗ることができずに、フィルターがかからないまま指示が通ってしまうことです。結果、自分の低信頼性や異質性が暴露されてしまいます。

 そして、「やり過ごし」のもうひとつの機能として、自分の頭で考える社員が育つということを挙げています。「やり過ごし」とは、部下が自分の判断で、優先順位を判断して指示について聞くものと聞かないものとを分けている。その主体性が社員を幹部候補として育てることにつながっているというのです。

 この調査結果が本当であれば、「やり過ごし」、つまりスルースキルとは決して特殊な行為ではなく、組織の機能としても適合的で、社員の主体性の確立にも寄与するものであると言えます。冒頭の社長の言葉も決して一部のエリートのみがなし得ることではないということもわかります。

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