「あらゆる“渇望”が心を強くする」堀江貴文が語る、孤独だった幼少時代
情報を貪欲すぎるほど追い求めていた
しかし今にして思うと、そんな境遇は両親からの最高のギフトだったかもしれない。「他人に期待をしすぎない」「欲しいものを獲得するために自発的に動く」という姿勢が、否応なく育まれた気がするからだ。
さらに言うと、日々のつまらなさに拍車をかけたのが「文化や遊びの欠落」だ。当時の僕の家は八女市の山間部にあり、住宅はまばら。友達の家に遊びに行くにも徒歩で最低30分はかかる。近隣に店や文化的な施設があるわけもない。
家の中も、文化の香りとは無縁だった。まともな本棚もない中、読み応えのある本といえば百科事典くらい。小学生だった僕は、それを耽読した。面白いことなど何もない家の中で、百科事典だけが知的欲求を満たしてくれる、ただ1つの扉だった。つまり当時の僕は、外界の情報を貪欲すぎるほど追い求めていた。
「お金」のことを心配しすぎないほうがいい
皮肉な話だが、クソつまらない家だったからこそ、僕のハングリーさが必然的に育まれたのかもしれない。心を鍛えるためには、「適度に不足気味くらいの環境」が、もしかすると良いのかもしれない。
もちろん「我が子は、文化的に恵まれた環境で、デジタルネイティブに育てたい」という親御さんも多いだろう。しかし僕は「“飢えまくる状況”こそ、自らつかみ取りに行く強さを養う」、そんな真理がある気がしてならないのだ。
もし、あなたが子育て中だったり、お子さんを持つ予定があったりするならば、将来の「お金」のことを心配しすぎないほうがいい。それよりも「与えすぎずに育てて、自主性やハングリー精神を養い、心を強くすること」をおすすめしたい。
<TEXT/実業家 堀江貴文>