建物の老朽化、ヤクザが出入り…“腐動産”リゾートマンションが激増するワケ
バブル景気の最盛期、スキーやゴルフ、温泉などのレジャーを楽しむために観光地に建てられたリゾートマンション。それが今、捨て値で売られ、建物の老朽化により“腐動産”化している。トラブル多発の現場を取材した!
【画像をすべて見る】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます
新築5000万円の物件が、ほぼゼロ円に!? 越後湯沢、苗場、熱海、山中湖などの観光地に建てられたリゾートマンションが暴落し、“腐動産”化している。
観光地に建てられたリゾートマンションが暴落
バブル期(1988~1990年)のリゾートマンションは毎年1万戸以上が新規分譲され、1億円超の高額物件も飛ぶように売れたが、1991年のバブル経済崩壊とともに供給が激減。ブームは過ぎ去ったものの、不動産ゆえに簡単に手離すこともできず、建物の老朽化や居住者の高齢化に伴い、各地のリゾートマンションでさまざまな問題が噴出しているのだ。
住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、根本的原因をこう指摘する。
「そもそも、リゾートマンションは商品として成立していない。1億円の物件なら管理費や修繕積立金が月10万円ほどかかり、建物の購入代金や固定資産税のほかに年間120万円もの維持費を支払い続けなければならない。リゾート目的で利用する回数が年数回程度なら、同じ回数高級旅館に宿泊したほうがコスパは断然いい」
住人の「質」の悪化に伴いヤクザが出入りする物件も!?
コスト以外にも問題は多い。山梨県・石和温泉のリゾートマンションに夫婦で暮らす田中誠一さん(仮名・64歳)は、「天然かけ流し温泉の大浴場と、富士山の眺望が気に入って」30年前に購入。だが現在は、施設の老朽化と居住者の質の悪化に不満を抱く。
「大浴場の女湯が壊れたので、1日おきに男湯と女湯になり、2日に一回しか温泉に浸かれない。また、数年前にはサウナが壊れたが、修理に500万円かかるので撤去して、代わりにシャワーを増設したおかげで、せっかくの温泉がまるで銭湯ですよ。
最近では、入り口はオートロックなのに居住者以外の人がなぜか大浴場に来ており、本当の銭湯のようになってしまった。おまけに、反社会的勢力と思しき人が出入りし、『ヤクザマンション』と呼ばれるようになり、資産価値が落ちそうで心配です。
バブル初期にリゾートマンションを購入した人は富裕層だが、バブル全盛期や崩壊以降の購入者はそれほどカネを持っていなかったり、素性もいろいろ。だから、住人の管理組合の総会で意見が割れるし、問題が起きやすいんです」