ファイテン、苦境に立たされたコロナ禍。事業成長の肝は「ヘルスケア需要」
運動中の怪我の予防やアフターケアに用いられるボディケアテープ。一般消費者やスポーツ愛好家のほか、体を日々酷使するアスリートにとっても、ベストなパフォーマンスを出す上で重要なアイテムになっていると言えよう。
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そんななか、学生から大人まで多くのアスリートに愛用されているのがファイテンの「パワーテープ」だ。1995年に発売して以来、累計販売数21億枚に達するロングセラー商品にまで成長している。今回は、ファイテン株式会社 営業本部 副本部長兼マーケティング部 部長の竹内智也氏にパワーテープがヒットした理由について話を聞いた。
大学駅伝選手の愛用がきっかけに注目
ファイテンの創業者である平田 好宏社長はもともと腰痛や肩こりに苦しむ患者を対象とした治療院出身で、人間の本来持っている「自然治癒力」に着目していた。そこから長年にわたる研究開発を重ね、ファイテン独自のナノテクノロジー(金属をナノレベルで水の中に分散させる技術)を確立。
前身となったのは、ファイテン独自技術を石英のガラス球に施して、テープで貼るようなものだったそうだが、日の目を見るきっかけになったのは、1990年代後半の大学駅伝だったという。
「毎年恒例の大学駅伝のレースで、ランナーが体の各部位にパワーテープを貼って出場していたんですが、その様子が当時放送していたテレビ番組で取り上げられたんです。特に我々から依頼したわけではなく、たまたまマスメディアに露出したことで大きな反響を呼ぶことになり、一時は在庫切れするなどの大ヒットを記録しました。そこから、パワーテープの営業を本格的に取り組むようになりました」
店舗やスポーツ現場で体験してもらうことが大切
「1990年代に関しては、スポーツ店や学校などが主な販路となっていました。ただ、1999年から実店舗『ファイテンショップ』をオープンし、ブランドとの接点の場を設けたことで、地域に少しずつ溶け込んでいきました。今では全国に170店舗を構えるほどに規模を広げ、お客様にファイテンの商品を体感してもらえる重要な場所になっています。
やはり、パワーテープにしても、ネックレスにしても実際に体験してもらわないと、実感できない。だからこそ、ファイテンショップに訪れるお客様の悩みを聞き、ボディケアのサービスを提供しているんです。また、世界で活躍するトップアスリートの方々と契約を結んだことで、自社のブランド認知にも大きく繋がっていきました」
さらに「実体感マーケティング」と銘打った、スポーツ現場でのボディケア講習会を実施してきたのも、ブランド認知を高める大きな役割を果たしたそうだ。