日本エレキテル連合、“誰も傷つけない笑いに傷つく”生きづらさと「唯一無二のネタ」に迫る
2014年に「ダメよ~、ダメダメ」のネタで大ブレイクし、「新語・流行語大賞」の年間大賞まで受賞した日本エレキテル連合の橋本小雪さん(37歳、@elekitel_denki)と中野聡子さん(38歳)。
白塗りに赤いドレスのダッチワイフ・未亡人朱美ちゃん3号と、彼女を口説き続ける高齢の男性・細貝さんは日本中に強烈なインパクトを与えた。現在は主にYouTubeやライブで唯一無二のコントを披露しており、根強い人気を誇っている。
インタビュー前半に続き、後編では、独特なネタ作りへのこだわりや「誰も傷つけない笑い」についての考え、賞レースへの思いと不安、お二人の生きづらさなどについて聞いた。
気持ち悪いものを見ると創作意欲が湧く
――ネタ作りに影響を与えた作品はありますか?
中野聡子(以下、中野):こう言うとカッコ良くなっちゃうんですけど、北野武監督の映画とか。あとは森田芳光監督の『黒い家』ですね。ああいう気持ち悪いものや、カットが急に変わる実験的なものを見ると創作意欲が湧きます。『黒い家』は大好きで何回も見てます。最後、ホラーのセオリーでラスボス感のあるキャラクターが出てくるんですけど、それもコントと通じるというか。変なおじさんが出てくるみたいな。ああいうのが好きです。
――ネタ作りはどういうところから始めているんですか?
中野:結構バラバラですね。本当に漠然とこういうことがしたいと思ったことから膨らませています。例えば、「政治家の妻をやりたいな。凛としたいな」とか。
橋本小雪(以下、橋本):直近の単独公演では、ただただ中野さんの旦那さんの悪口を言うコントをやりました。ああいうのは最近、新しいかなって思います。
ネタ作りの着想はネットから
中野:昔はよく人間観察をして着想を得ているって言ってたんですけど、あまり街にも出ないしどうやってインプットしてるんだろう……。
橋本:ネットじゃない?
中野:ネットかもしれないですね。若い人たちが悩んで病んでいるところを見て、そういう人たちの思想を知ったり。最近はTikTokも見てるんですけど、配信されてる方がたくさんいて面白いんですよね。
――若い人のどういう部分に闇を感じるんですか?
中野:ものすごく病んでいて誰かに話を聞いてほしくて、自分の生きづらさを生配信でしゃべっていたり、精神安定剤を飲んでパキッて死のうとしていたり。もちろん、それで救われてる方もいるんですけど、そんなことを何十万人も見ている前で話す思考が私には分からなくて。「寂しくて皆に聞いてもらいたいのかな」とか考えて、理解しようとしてネタに反映しています。死のうとしたり、彼氏の浮気を暴露したり、どうしてそんなことを……って。でも刺激的なんですよね。見ちゃいます。