普通の会社員が早期退職「FIRE」をめざすなら…究極にシンプルな投資法
FIRE(経済的に自立して早期リタイアする)を目指すとき、どんな運用方法を選択するべきかは、人によって意見が分かれるところです。
日本のFIRE成功者の多くは、個別企業の株式投資などでリスクを取って大きく当てた、いわゆる「億り人」(資産が億以上の人)が多いようです。
一方で、インデックスファンド(指数連動型の投資信託)で低コスト・低リスクの長期分散投資を推奨する人もいます。
また、FIREがセールストークに使われ始めていて、不動産投資やFXなどを推す人たちがいます。彼らは自らの販売商品をプッシュしますが、営業の「圧」が強いので、これがFIREに適した商品と感じる人もいるはずです。
話題の新刊『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、ファイナンシャルプランナーでもある山崎俊輔氏が解説します。山崎氏はズバリ、普通の人はまず低コスト・低リスクのインデックス投資から始めるべき、と言います。(以下、同書を一部編集の上、抜粋)
インデックス投資のメリットと特徴
これからFIREを目指す人は、まずはインデックス投資のメリットや特徴を押さえ、一度は試してみてほしいと思います。個別株投資などはその先の選択肢として、そこから考えても遅いことはないはずです。
インデックス投資とは、株式市場などの指数、たとえばTOPIX(日本国内の東証一部上場企業が対象)や、MSCIコクサイ(日本以外の世界の先進国の株価を対象)などと連動する投資商品を購入することです。実質的にそれらの市場をまるごと購入したのと同様な値動きが得られます。
たとえばTOPIX連動のインデックスファンドを買っておくとTOPIXの騰落とほとんど同じ値動きになります。TOPIXとは東証一部上場企業の株価の平均なので、トヨタ自動車やユニクロ、ソニーに任天堂といった多くの企業をひとつの商品でまとめ買いするのと同じことになります。1万円で1社あたり数円から数百円くらいずつ投資をするイメージです。
シンプルな仕組みで低コストで運用
インデックス投資の最大のメリットは、運用の負担とコストを下げられることです。いい会社、悪い会社を日々選び抜くのは大変な負担ですが、「日本株まるごと」とか「世界の株まるごと」を買うのは簡単です。銘柄選びの負担がまずなくなります。
一方で、経済全体の値動きを獲得するのはきわめて簡単です。TOPIXが10%上がったとニュースになれば、TOPIX連動の投資信託は自動的に10%値上がりするのです。
値動きもマイルドになります。個別の株で勝負すると大幅上昇も期待できますが大幅下落もあり得ます。特に見込み外れは資産成長にマイナスです。市場全体の平均であれば、突出した上昇と下落がなくなる一方で、経済全体の値動きを確実にものにすることができます。「ひとり負け」がなくなるのです。
運用の仕組みがシンプルなので、低コストなのもいいことです。今では資産残高の年0.2%くらいで運用を任せられるようになっています。20年前の価格から70~80%も値下がりしているほどです。