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「コジマ電機学園都市店」閉店で、日本一安い「つくば電気街」が消えた。その誕生と繁栄の歴史

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郊外型家電量販店「北関東YKK」の出店

 一方で、この当時、首都圏郊外では「北関東YKK」と呼ばれる郊外型家電量販店の出店攻勢がはじまっていた。

 北関東YKKとは「ヤマダ電機」(現・ヤマダホールディングス、本社:群馬県前橋市→高崎市)、「小島電機」(現・コジマ、本社:栃木県宇都宮市)、「カトーデンキ販売」(現・ケーズホールディングス、本社:茨城県水戸市)の3社の頭文字に由来するもので、それら「北関東YKK」の先陣を切ったのが、1995年1月に開店した「コジマ学園都市店」であった。

 コジマは石丸電気と道ひとつ隔てた二の宮地区に店舗面積999平米で出店。当時コジマは「安値日本一への挑戦」を掲げ、郊外型家電量販店の雄として急成長していた。コジマはその2年後の1997年度にベスト電器を抜いて家電量販店の売上高で首位に立っている。

 そうしたなか、石丸電気はコジマの出店に対抗して1995年3月につくば店敷地内に「テレビ館」(現在はIT企業オフィス)を新設。200種類250台のテレビを展示し、販売種類では国内最大級の品ぞろえだった。また、1997年にはつくば店敷地内に売場面積約1,500平米の「パソコン館」(現在は解体、一般住居)を新設するなど増床を図り、最終的な合計面積は6,600平米となった。

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「石丸電気つくば店テレビ館」の跡。現在はIT企業のオフィス

 そのあおりを受けたのが、「ダイイチつくば学園店」(現・エディオン、本社:広島市→大阪市)だった。店舗面積が500平米と狭かった同店は競争の激化により、わずか数年の営業ののち1995年9月末に閉店した

茨城県内の地場企業も「電気街」に参入

「YKK」以外の北関東勢、とくに茨城県の地場店舗も負けていなかった。ダイイチ跡地には地場大手スーパー「カスミ」の傘下であった家電量販店「カスミ家電」のパソコン専門店「C-YOU」(現在は跡地にアパート・質店など)が1995年12月に開店。

 さらに、同じく地場企業である「関彰商事」(茨城県下館市)は、パソコン・携帯電話などの専門店「インティオ」(現在は携帯電話ショップ)を1996年2月に開店させたほか、つくば市に本社を置く「コナン販売」も市内の別の場所にあったパソコン・携帯電話などの専門店を1995年10月につくば電気街へと移転開業させている(石丸電気の別館を経て現在はセブンイレブンとオフィス)。

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「インティオ」跡。現在も関彰商事グループが展開する携帯電話ショップとして営業しているが、パソコンなど家電は販売されていない

 このようにして家電量販店やパソコンショップ、携帯電話ショップなどが集積することとなったこの地は、つくば電気街として、さまざまな媒体に取り上げられるようになり「秋葉原より安い」「日本一安い」大型電気街として名を馳せ、関東各地から大きな集客を呼ぶようになったのだ

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