住宅ローン減税縮小案で、買った人は「今よりいくら損するのか」を検証
今後の住宅ローン控除の見通し
現在、政府与党内で話し合われているのは、住宅ローン控除率と控除期間の見直しです。
控除率は1%から0.7%への引き下げを検討しているようです。単純な控除率の引き下げですと、住宅購入の意欲を下げることにつながるため、バランスを取る意味で、控除期間を延長する可能性もあります。
例えば、住宅ローン控除の期間が15年となれば、0.7%×15年で10.5%相当の税額控除、20年となれば0.7%×20年=14%の税額控除が可能です。現在の控除額が1%×10年+2%=12%ですから、逆ざやの一部を解消しつつ、期間を延長することで、トータルの控除額をバランスさせることも考えられます。
今家を買うのと、改悪後で差はどれほど出るか?
現行制度と改悪後の条件を数字で比較します。住宅ローン控除の適用期間は10年と仮定します。住宅ローン残高が4000万円の場合、現行制度ですと40万円×10年=400万円が税額控除となります。控除率が0.7%になった場合、年間の税額控除は4000万円×0.7%=28万円となります。10年間ですと28万円×10年=280万円。
400万円―280万円=120万円の影響が改悪の結果となります。年間12万円の損をすることになります。毎月1万円の損と同じです。
毎月1万円は住宅ローン金利を0.31%とした場合、400万円の借入金額に対する返済額と同じです。つまり、住宅ローン控除の適用期間中は、現行制度で4000万円の借り入れをしている人と、今後の制度で3600万円借り入れをしている人の支払額がほぼ同じになることを意味します。
【借り入れ4000万円】期間35年 金利0.31% 返済額10万510円
【借り入れ3600万円】期間35年 金利0.31% 返済額9万459円
上記の返済額の差額は約1万円ですが、住宅ローン控除の適用額が月額1万円に相当するため、年間の負担額はほぼ同額になる計算です。