楽天、フェイスブックを経て「クラフトビール」で起業。異色のキャリアの原体験とは
フェイスブック米国本社で感化された
究極の二択ともいえる状況で、長谷川さんはフェイスブック ジャパンの代表を引き受ける決断を下した。
「起業家になることも視野に入れていたのですが、入社前の選考段階で招待されたカリフォルニア州のフェイスブック本社で働く、優秀かつ人間的にも尊敬できる社員たちが、そこらじゅうにいることに圧倒されたんです。仕事ができるだけでなく、人当たりもいいですし、家族を大切にしたり環境問題のアクションをしていたりと、本当に非の打ち所がない人材が集結していたんです。
心なしか自分が小さく見えてきて『これはもう、ひと回り成長してから起業するべきだ』と考えようになりました。また、フェイスブックはオーセンティックリーダーシップを掲げ、人間らしい振る舞いを大事にする風土がありました。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグもある意味、とても人間らしく、悩んだり、苦しんだりする姿を見せてくれる。
僕の中で、役職などの肩書きを背負う人は、威圧感があってオーラをまとっている固定観念があったのですが、それ以来は自然体なリーダーシップを意識するようにしました」
フェイスブックで向き合った日本の課題
会社組織の中で役職や階級が高いからと、近寄りがたいオーラを出すのではなく、人として共感できるようなフランクさや親しみやすい雰囲気を作る。たしかに、取材中も笑顔を絶やさずに、終始楽しく話す表情が印象的だった。
そんな長谷川さんだが、フェイスブック ジャパン時代にはFacebookやInstagramにおける広告事業の展開だけでなく、「コミュニティやテクノロジーを活用して、日本の抱える課題と向き合ってきた」と話す。
「地方創生の文脈で、日本各地の自治体や地場企業などさまざまな関係先と共に地方活性化の活動をしていました。Facebookというプラットフォームの中で発信の仕方をサポートしたりと、小さいことでも成長機会に繋げられたらという思いで取り組んでいたんです」