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好みのコーヒーをレコメンド「AIカフェロボット」を22歳CEOが世に送り出すまで

ビジネス

「AI(人工機能)」と聞くとなんとなく固く考えてしまうが、日常生活のなかで何気に活用しているものだ。スマホはもちろん、掃除ロボットなど周りを見渡せば実はAIだらけ。もしかしたら、AIなしでの生活はもう不便なのかもしれない。

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AIカフェロボット(画像提供:株式会社New Innovations)

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 AI市場規模を予測する「ITR Market View」では、2020年度のAI主要8市場全体の売上金額は513億3000万となり、前年比19.9%も増加したと発表。コロナ禍で新規参入ベンダーも増え、今後もさらなる拡大が見込まれるとのこと。そんななか、AIべンダー界に、新しい風を送り込もうとしている会社がある。

 それは街中に設置できる「AIカフェロボット」を開発した株式会社New Innovations(ニューイノベーションズ)だ。AIカフェロボットの「root C」は、アプリで注文ができ非接触でコーヒーが飲める。まさに今の現代に合ったアイデアだろう。今回は江東区にある清澄白河に本社を構える、株式会社New Innovations・マーケティングマネージャーの阿部睦氏に取材を試みた。

開発者はロボカップジュニアの日本代表

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株式会社New Innovations・代表取締役CEOの中尾渓人氏(画像提供)

 New Innovationsは2018年に設立。代表取締役CEOの中尾渓人氏は、現在22歳。世界的な自律型ロボットの研究競技大会「RoboCupJunior(ロボカップジュニア)」に出場。中学2年と3年時には日本代表として世界大会にも出場した経歴がある。一体どんなすごい人物なのか?

「とにかく集中力がすごいですね。我々も圧倒されるくらいに。しかし普段は気さくでとても接しやすいです。以前、取引先の人がいらっしゃった時に、たまたま中尾がドアを開けて譲っているのを目にしたんです。取引先の方は『色んな社長を見てきましたがドアを開けて従業員を先に通す社長は初めて見た』と驚いていました」

 New Innovationsはコロナ前の2019年、大阪の「なんばスカイオ」でAIカフェロボットを実証実験し、正式サービスとして2021年に始まった。そんな中尾CEOが運営している会社のキャッチコピーは「あらゆる業界を無人化する」とのこと。

あらゆる業界を無人化するとは?

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「root C」のアプリをインストールし、受け取りたい場所と時間を指定すれば、淹れたてのスペシャルティコーヒーが非接触で手に入る。サブスクもあり、杯数無制限で1か月7980円、8杯まで1980円。どちらも初月無料。単品は1杯450円だ。ちなみにroot Cの「C」はCoffeeのCからとっている(画像提供)

「あらゆる業界を無人化する」――。具体的にどう無人化していくのか。阿部氏に聞いた。

「root C が世間で注目されたのは『非接触』という点がきっかけでしたが、もともとコロナ禍の非接触ありきではなく、OMO事業のひとつとしてすでに開発や実証実験を行っていました。『あらゆる業界を無人化する』の根底として『人がやらなくても良い部分は機械で補う』という考えがあります

 例えばファストフードなど均一化された商品を出すようなお店は、必ずしも人がやる必要性がない仕事があります。それをロボットで補えられれば、少ない人数でも接客などに力を入れられます。機械と人間が共存し、より良い社会になっていけばという想いで始めたのがroot Cでした」

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